大の里「長かった。小さい頃から見ていた光景」最速Vから一夜 来場所好成績なら最速8場所でちょんまげ大関も
大相撲夏場所で初優勝を飾った新小結・大の里(23)=二所ノ関=が千秋楽から一夜明けた27日、茨城・阿見町で記者会見を行い、大関昇進と自己最高の13勝以上という新たな目標を掲げた。名古屋場所(7月14日初日・ドルフィンズアリーナ)では好成績を残せば昇進の声も上がりそう。大関昇進の目安は「三役で直近3場所合計33勝」だが、昇進3場所前の起点が平幕だったケースも過去6例あり、大いちょうの結えない“ちょんまげ大関”誕生も現実味を帯びてきた。 【写真】ネットでは「父の里」と話題の大の里の父 初土俵から最速の所要7場所での初優勝。快挙から一夜明けた大の里は、爽やかな表情を浮かべた。「本当にようやく終わったなという感じ。長かった。(賜杯は)すごく重かったし、小さい頃から見ていた光景。うれしい」と振り返った。部屋に戻ってからは千秋楽パーティーやテレビ出演などに追われてうれしい悲鳴。思わず「こんなに忙しいんだと実感した。ゆっくりしたい」と本音が出た。 新関脇昇進が確実な名古屋場所での活躍に早くも期待が集まる。ちょんまげ頭の23歳は「まだ上の番付がある。優勝はうれしいけれど、最終的な目標はそこじゃない。上へ上へと駆け上がりたい」と前を向いた。師匠の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)に「3敗は優勝ではない」とクギを刺されたこともあり「次は13勝2敗、14勝1敗、そして全勝優勝ができるよう、さらにレベルアップしたい」と誓った。 連覇となればさらに夢が広がる。今場所は新三役で12勝。大関昇進目安「三役で直近3場所33勝」の起点となった。11勝した春場所は西前頭5枚目だったものの、年6場所制となった1958年以降、平幕を起点として大関昇進したことは照ノ富士ら過去6例。優勝を逃したとしても、今場所を上回るような好成績ならば大関昇進の声も上がりそうだ。「大事になってくる場所。考えすぎずに頑張りたい」と平常心を強調した。 ちょんまげ頭になったのは今場所から。「こんな早く優勝できてうれしい」と自ら驚くほどだ。関取のシンボルとも言える大いちょうは「年内はまだですね」という。早い段階での昇進について「そこまでこだわりはない。また次に向けて頑張りたい」と強く意識はしないが、初土俵からスピード大関昇進は昭和以降では羽黒山、豊山、雅山の所要12場所。年内に昇進すれば、この記録も上回る。想像をはるかに超える成長で“ちょんまげ大関”が誕生する。(山田 豊) ◆大の里に聞く ―初土俵から所要7場所での最速優勝。 「意識しないように場所中はネットを含め記事を見なかった。場所が終わって記録を聞いてうれしかった」 ―成長は感じるか。 「二所ノ関親方の下で基礎や立ち合いを一から指導してもらった。入門時からは想像できないくらい下半身も安定し、落ち着いて相撲が取れるようになった」 ―体の疲れは。 「勝っているので、そんなに疲れはないと思う」 ―石川に帰ったらやりたいことは。 「(石川発祥の)チャンピオンカレーが食べたい。Lカツ(カレー)に福神漬を入れてめちゃくちゃ食べたい」 ―連続優勝への意識は。 「まだ考えていない」 ―磨きたい取り口は。 「相手も研究してくる。上を行かないと足をすくわれてしまう」 ◆平幕を起点に大関に昇進した力士 年6場所制となった1958年以降で栃光、豊山、朝潮、北尾(後の横綱・双羽黒)、照ノ富士、栃ノ心の6例ある。いずれも直前場所で12勝以上挙げている。
報知新聞社