「被告に覚醒剤売った」 ドン・ファン殺害 売人の男性が証人出廷
「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家・野崎幸助さん(当時77歳)を殺害したとして、殺人罪などに問われている元妻の須藤早貴被告(28)の第7回公判が1日、和歌山地裁であった。覚醒剤の売人をしていたという男性の証人尋問が午後にあり、男性は、4~5グラムを10万~12万円で須藤被告に売ったと証言した。 【覚醒剤 口から多量摂取 ドン・ファン事件、解剖医が証言の記事はこちら】 男性は、2018年4月7日に大阪市内から車で田辺市に向かい、翌8日午前0時ごろに同市宝来町の路上で須藤被告と会って、現金を受け取ってから覚醒剤が入った封筒を渡したという。男性は「渡す前に(覚醒剤は)本物だと確認した」「(須藤被告は)言動も普通で、これまでの客と違って薬物をやっているようには見えなかった」などと述べた。 検察側は証拠調べで、須藤被告が18年4月7日に田辺市内のコンビニエンスストアのATMで10万円を自身の口座から出金したと説明した。 野崎さんは18年5月24日に亡くなった。 午前は検察側の証拠調べがあった。須藤被告の姉と母親それぞれの供述調書で、検察官が一部を読み上げた。須藤被告の結婚を野崎さんの死後に知ったという内容で、須藤被告が姉に「遺産は15億円前後だと思う」「(野崎さんの)自然死で遺産が入る予定だった」などとメッセージを送っていたとも説明した。 起訴状によると、須藤被告は殺意を持って、野崎さんに致死量の覚醒剤を摂取させ、急性覚醒剤中毒で殺害したとされる。須藤被告は起訴内容を否認し、弁護側は無罪を主張している。
紀伊民報