チョークに水温が上がるまでのアイドリング暖機! 冬がくると思い出すいまじゃ見られない昭和オヤジに「なつかしの儀式」
懐かしの暖機運転を振り返る
かつて、とくに冬季のカーライフの風物詩といえば「暖機運転」があった。我が家の初めてのマイカーとなった、1976年式トヨタ・パブリカ・スターレット1200デラックス(4速MT)は、キャブレター式の3K型1.2リッターOHVを搭載していた。当時は公団住宅(現UR)に住んでおり、住んでいた号棟から駐車場が離れていたが、クルマを取りに行くときは父親についていき、ときおりエンジン始動をやらせてもらったことがある。 【画像ギャラリー】寒い時期などエンジンがかかりにくかったときに活躍したチョークレバー 当該車はマニュアルチョークが備わっていた。若い人向けに「チョーク」というものが何かを説明すると、燃料噴出量を増やすもので、マニュアル式の場合は「レバー」となる。記憶では、チョークレバーは二段階式となっており、いつもより寒いときには「思い切りレバーを引っ張って、アクセルを何回か踏んでからエンジンかけて」と父親に言われたのも覚えている。 エンジンがかかれば、今度は「暖機運転」となる。暖機運転といってもクルマを動かすのではなく、その場でしばらくアイドリング状態にしてエンジンを温める「儀式」のことを暖機運転と呼んでいた。一般的な認識では水温計が動いたら走り出してよいとされていて、水温計が動いたらクルマを発進させていたとも記憶している。 2台目の1981年式トヨタ・カローラセダン1500GLになると、チョークが「オート式」となっていた。3台目の1988年式トヨタ・カローラセダン1500SEリミテッドは、6代目の前期型だったので、キャブレター式の「ハイメカツインカム」エンジンを搭載していた。 個体の問題となるマイナートラブルだったのか、普通に走っていてもエンジン回転が安定せず、エンジン始動時にはかなり高回転までまわってしまっていたのだが、しばらくするとEFI(電子制御)タイプが追加され、マイナーチェンジ後は1.3リッターエンジン以外は全車電子制御化された。
いまでは暖気不要! しかし……
その後、エンジンの電子制御化などで進化していくなかで、「暖機運転は必要ない」といわれるようになってきたが、条例でアイドリングが禁止されるまで筆者は水温計が動くまで、ひたすらアイドリング状態を維持していた。それがクルマにやさしいと信じていたからである。 ちなみにネットで調べてみると、「エンジンの進化もあり、一部の特殊な条件下を除けば暖機運転は必要ない」ということで業界での認識は一致していた。 少々昔にクルマのメカニズムに詳しい人に聞くと、「それでもエンジン始動後すぐに発進するよりは、30秒ほど待ってから発進したほうがクルマにはよりやさしい」とも聞いたことがあるが、とはいっても筆者の住む地域では、条例でアイドリングが禁止されているのだから、こればかりはどうしようもなくなっている。 いまはシリーズ12代目となり、2023年式トヨタ・カローラセダン1500Gに乗っているが、同じ世代の前期型ではやや旧世代の1.8リッターエンジンを搭載していた。エンジンを始動するとすぐにエンジン回転数が安定することもあり、アイドリングを長々とやることもなくすぐに発進していたが、旧世代の1.8リッターではエンジンの燃焼効率があまりよくないのか、エンジン始動後すぐに結構な臭いのする排気ガスが漂うようになっていた。 しかし、いま乗っているカローラセダンでは、新世代ダイナミックフォースエンジンでもあるので、燃焼効率もかなり高いようで排気ガスの「臭い」といったものをまず感じることもなく、エンジン始動後速やかに発進させている。 ただ、あまりメカニズムにそれほど精通していないオジサン世代としては、確かにアイドリングを長々とやるのは地球によくないのかもしれないし、エンジンが進化してそれを必要としないのかもしれないが、どこか一抹の不安も残ってしまってモヤモヤしている。
小林敦志