「イスラム国はピーク過ぎた」「中東はパラダイム転換期」「スンニ対シーア広がる」 中東専門家3人が議論
今後、日本が中東とどう関わっていくかについては、3氏とも「非軍事的な関与」をベースとするべきとの意見で一致した。黒木氏は「日本には大戦後につくってきた『ブランド』がある。原爆を落とされても経済成長し、軍事的関与なしに中東にも関わってきた。だから日本人は信用できるといわれる。それがいま土台から崩れている。非軍事的でかつ中立的な関与は、決してずるいことではない」と訴えた。
■中東の「日常」も報道して
高橋氏は、日本での中東論議の間違いは、何十か国とある中東諸国を十把一絡げにしてしまうことで、「アジアだからと言ってブータンと日本を一緒に語っているようなもの」だと指摘する。 そして、マスコミ報道に対しては、「人質事件も大切だが、同時にイランの核問題は世界史的に重要な事件。こうした“大きな絵”も示してほしい」と注文。さらに、集中豪雨的に拘束事件を報道し、その後、中東のことをまったく報じないのでは、「日本の視聴者からすると、中東の人はいつも殺し合っているんだ、人質をとってるんだ」という誤解につながると懸念し、「中東の日常も伝えてほしい」と要望した。