「老害政治家」が好き放題してもお咎めなし…日本に「すぐキレる高齢者」が蔓延する根本原因
■「老害」をそのままにしてはいけない そして何度も述べる通り、日本では、「老害」を隠そうともしないリーダーを前にして、被害者側が、どちらかといえば騒ぎ立てず、黙っていることを美徳とする傾向があります。これ自体「見て見ぬふり」の「右脳老害」と変わりありません。 「老害」がそのままになっているということは、問題があると認識はしているのに、正しいソリューションを考え、実行したりはしないことと同じです。尖ったものを、丸く収める方向への力が強く働いているということです。 ただ、「老害」を受ける側は、仮に「右脳老害」化されていても、まだ「左脳老害」化はしていない分、論理的な思考や、情報の受容、解釈が正しくできる余地は残されています。 したがって「老害」の被害によって何か問題が起きている際、原因やポイントを把握し、解決策を見いだすことは、可能なのです。むしろ、自分自身が、「左脳老害」化される前に何とかしなければなりません。 ■無関心が招く「老害ハザード」 それでも、自分には実行力が欠けていることを悲観視し、「老害」のターゲットにされないようにするあまり、結局何もしようとしない人が多いのです。それでは、せっかくのソリューションを生かせません。 そして、「老害」によって起きている問題が、誰の目にも明らかな失態や悪事として広く認識され始めてから、「実は以前から考えてはいたのですが……」「何度か指摘はしたのですが……」などと言い始めることが多いのです。 被害者側がこういう状況に甘んじていると、やがて自分で考える力を失ってしまいます。考えても無駄だと思えば、深く考えずに適当に対処して生きていく方が楽だからです。また、相手にはっきりと迷惑であることを伝えるのには、どうしても勇気が必要だったりします。 こうして、先にも述べた通り、「右脳老害」の中で生きていると自分も容易に「右脳老害」化して、ついには「左脳老害」化していく、というゲームのバイオハザードの法則、すなわち「老害ハザード」が成り立つのです。 ---------- 加藤 俊徳(かとう・としのり) 脳内科医 昭和大学客員教授。医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社「脳の学校」代表。MRI脳画像診断・発達脳科学の専門家で、脳を機能別領域に分類した脳番地トレーニングや脳科学音読法の提唱者。1991年に、現在世界700カ所以上の施設で使われる脳活動計測「fNIRS(エフニルス)」法を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科でアルツハイマー病やMRI脳画像の研究に従事。ADHD、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。著書に『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き』(ダイヤモンド社)、『アタマがみるみるシャープになる!! 脳の強化書』(あさ出版)、『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方』(サンマーク出版)など多数。 ----------
脳内科医 加藤 俊徳