「政治とカネ」候補なぜ推薦 見返り不十分で共倒れ 衆院千葉3区に見た苦心の公明党事情
ただ、公明党にとって推薦の〝代償〟は少なくなかった。千葉県全体の公明党が獲得した比例票は27万票で、自民党が野党に転落した平成21年衆院選以降、維持してきた30万票台を下回った。3区も2万1205票と前回の令和3年衆院選に比べて4万票近く減らした。
「小選挙区は自民党、比例は公明党」。選挙になると、こんなフレーズで連立を組む自民、公明両党は互いに助け合っていた。しかし、今回は県内に限らず、両党による選挙協力の見返りは不十分といえ、政治とカネの問題で自民党と同じ「風速」の逆風に見舞われた。自民党支持者が不記載事件に嫌気がさし、棄権したことも影響しているとみられる。
ダメ押しとなった自民党による非公認候補の政党支部への2千万円支給問題に関しても、「公明党はなぜ止められなかったのか」という支持者からの苦情を聞いた平木氏は、連立の難しさをこう語る。
「順風のときは大きい政党(自民)に追い風が吹きがちで、逆に小さい政党(公明)は埋没する。だが、逆風のときは同じだけ一緒に、逆風が直撃する」
逆風をかわすためにも、推薦を出さない選択はなかったのか。平木氏は「疑惑があった人に推薦を出さないというのは格好がいい。だが、長い目で見て連立政権による政治の安定を構築しようというならば、それはできなかった」とこぼし、こう続けた。
「(結果的に)松野氏の推薦を決めたが、全ての支持者に理解をいただけず、マイナスに働いた。公明党は『政治とカネに甘い』と受け止められてしまった」
「1強多弱」の勢力地図が塗り替わった今回の政治決戦。公明党は11月9日の臨時党大会で新代表を正式に選出する運びだ。来年には同党が重視する東京都議選、参院選が迫る。党勢立て直しに向けて残された時間は少ない。(岡田浩明)