超特急・草川拓弥、双方に生きる俳優&ダンサーの“二刀流” ファン拡大も実感「相当なこと」
■「御眼鏡にかなわない」に苦戦 ――バンド仲間で、いつも気にかけている瑛斗を演じた櫻井海音さんとの芝居は、どのように意識されていましたか? とにかくカメラに撮られていることを意識せず、日常みたいにラフに、という感じですね。もちろん仲が良いですし、お互い信頼し合っていて深く知っている関係ではあるけど、仲が良いからといって何でも踏み込んでいいものではないと思うので、そのうまい塩梅が表現できればと思っていました。 ――桜井玲香さんとW主演のスピンオフも配信されておりますが、こちらの見どころはいかがでしょうか。 本編では描かれなかった竜をさらに深掘りできるような内容になっています。ほとんどが会話劇にはなってるんですけど、その会話のラリーもすごくやりがいがありましたし、ちょっとバトルしているかのような演出に、僕もやっていてワクワクしました。人に対してズバズバと言うくせに、肝心の瑛斗への感情はモゴモゴして言えなくなったりして、そこの竜のかわいらしさというのがより伝わるんじゃないかと思っています。 ――会話劇で難しかったところはありますか? セリフを覚えるという作業がすごく苦手なので、そこだけは苦戦はしました。作品によって共感できる・できないでセリフや言い回しが頭の中に入ってくる感じが結構、顕著に分かれるんですよ。今回はスッと入ってきました。 ただ、「御眼鏡にかなわない」というセリフがあるんですけど、普段使わない言葉だったので、「御眼鏡」のイントネーションに苦戦しました。今も合ってるかどうか分からないんですけど(笑)、何回か間違えて、「もう1回やろうか」っていう感じでしたね。
芝居と人生経験でパフォーマンスが表情豊かに
――今や俳優業と超特急の“二刀流”でご活躍されていますが、先に俳優デビューされてお芝居をされてきた後に、超特急に加入されました。 事務所に入ったのが中学1年の冬で、それからいろんな作品に出させてもらっていたんですが、高校2年の時に「グループでやってみないか?」と声かけてもらったんです。そこでグループ活動をすることになったんですが、最初の頃は“二刀流”ではなくて、それぞれ一つずつみたいな感じでした。 ――それから実際に“二刀流”となって、この両立は最初から「いける」という感覚があったのですか? 自分の中でグループの時と個人の時とでの切り替えみたいなものは、はっきりとないんです。グループはメンバーがいるんで、良くも悪くも甘えられる部分がありますけど、1人の時だとやっぱり自分でやらなきゃいけないというくらいの違いで。ここを明確に変えようみたいな意識も特にないので、そこに関してのプレッシャーはあまりなかったですね。 ――スケジュール的に大変だったことはありませんか? ツアーをやりながらドラマを並行してやっている時期もありますが、慣れていきましたね。確かに最初は大変だったと思うんですけど、そこまで大変だったという記憶もないんです。 ――もう無我夢中だったのかもしれませんね。 そうですね。その時、その時で目の前のことに挑んでいた感じでした。 ――グループ活動と俳優業が、双方に与えるメリットというのもありますか? 表現の面で言うと、カメラで抜かれるタイミングとか、このアングルだと手元まで入らないとか考えるようになったのは、芝居をやってきたことが生きてますね。あと、グループでのパフォーマンスの時に、喜怒哀楽がはっきりと表現できるようになった部分があると思います。昔はファンの方にも言われていたんですけど、笑わずに無表情でパフォーマンスしていたんです。でも、いろんなお芝居を経験し、自分が人生経験を積んだのもあると思うんですけど、表情が豊かになったとおっしゃっていただく機会が増えたんですよ。笑顔だけじゃなくて、バラードだったら儚(はかな)い表情が自然とできるようになっていたり。 ――台本から読み込むように、歌詞から読み込んで表現するという作業もあるのですか? そうですね。ダンサーなので、基本は音を拾って体で表現するんですけど、しっかりと歌詞を聴いて、応援してくれてる8号車(=ファン)に対してどういう感情を伝え届けたいのかを考えながら、パフォーマンスしています。 ――表現が豊かになった自覚が、ご自身の中でもあるんですね。 そうですね。豊かになればなるほど、やっぱりステージに立って楽しくなるので、すごく良かったなと思います。 ――ファンの拡大という意味でも、“二刀流”は大きいですか? そこもすごくありがたいことにあると思います。個人的に最近一番反響があったのは『みなしょー(みなと商事コインランドリー)』(テレビ東京)なんですが、そこからライブに“乗車”してくださる方がすごく増えたんです。作品を好きになって、役を好きになるというのはあると思うんですけど、そこからその役を演じてる人に興味を持ってライブまで来てくださるのは相当なことだと思うので、それはすごく感謝しています。 僕を知ってくれる方は、今までは「グループの方が俳優もやってるんだ」というパターンが多かったんですけど、最近は「グループもやってたんだ」という方が増えてきたんです。個人の活動がグループに還元できることは素敵なことだなと思います。 ――グループの皆さんから、出演作品の感想をもらったりされるのですか? 別に仲が悪いとかじゃなくて、個人の仕事に関しては、お互いあんまり話さない感じなんですよ。2年前に入った4人の中でハルとかアロハとかは最近お芝居の仕事が増えていますが、改めて「見たよ」とか「あれ良かったよ」とか声をかけるのは、あんまりないですね。でも、きっと見てくれてはいるんです。確実に見てるだろうなっていう人もいますから(笑)