黒沢清監督が映画『蛇の道』をセルフリメイク 主演に柴咲コウ オールフランスロケによる日仏共同製作
先ごろ開催された第74回ベルリン国際映画祭で新作『Chime』が上映されるなど、カンヌ、ヴェネツィア、ベルリンの世界三大映画祭をはじめ、長年にわたり世界から高い評価を得る黒沢清監督。この度、そんな黒沢清監督のセルフリメイク作、映画『蛇の道』の日本公開が24年6月に決定したことが発表された。 1998年2月21日に日本で劇場公開されたサスペンス『蛇の道』が、黒沢監督初の試みとなるセルフリメイク作品として、26年の時と国境を越え、蘇る。 主人公 精神科医・新島小夜子を演じるのは、柴咲コウ。他人の復讐に協力する精神科医を演じる。一方、殺された娘の復讐に燃える男・アルベールを演じるのは、主演を務めた『レ・ミゼラブル』が第72回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で審査員賞を受賞、フランス国内では米アカデミー賞にあたるセザール賞主演男優賞にノミネートされるなど、フランスでいま最も注目を浴びる俳優・ダミアン・ボナール。 本作は全編フランスロケ、フランス語にて撮影され、撮影の約半年前から仏語のレッスンを受け臨んだという柴咲は今回の主演オファーに対し「なぜ私なのだろう、フランス語も話せないのに」という驚きと同時に「黒沢清監督とお仕事がしたかったこと、それにプラスしてフランスや仏語に魅力を感じ、ずっと深く触れたかったという個人的な理由も絡み、前のめりでお引き受け致しました」とコメントを寄せた。
黒沢清監督・柴咲コウ・ダミアン・ボナール コメント(全文)
【コメント】 ▼黒沢清 監督 26年前にオリジナル・ビデオ作品として脚本家高橋洋に書いてもらった脚本は、徹底的に復讐していく物語なのですが、これが非常によくできていて、チャンスがあればもう一度映画化したいとずっと願っていました。それがひょんなきっかけでフランス映画としてリメイクできたことは幸運という他ありません。 そして、それ以上の幸運は何と言っても柴咲コウさんの参加でしょう。本当に素晴らしい女優でした。彼女の鋭く妖しい眼差しと、野獣のような身のこなしが、この映画をオリジナル版にもましてミステリアスで深みのある作品に格上げしてくれました。 ▼柴咲コウ ・オファーがきた時の心境について教えてください なぜ私なのだろう?フランス語も話せないのに?と思いましたし、そのことは黒沢清監督とプロデューサーにお会いした際にお伝えしました。しかし、単純に黒沢清監督とお仕事したかったこと、それにプラスしてフランスや仏語に魅力を感じ、ずっと深く触れたかったという個人的な理由も絡み、前のめりでお引き受け致しました。 ・フランスでの撮影を振り返り、感動したことや苦労したことがあれば教えてください フランス人スタッフ皆さんの黒沢清監督へのリスペクトが、現場の空気感や集中力に表れているなと思いました。私自身はとにかく夢中で撮影のみに専念していました。苦労をあげればキリがありませんが、「楽しく毎日撮影する」という目標は達成できました。録音部・フランソワからダメ出しされないときには「よしっ!」とガッツポーズしてました笑 ・フランス語・フランスでのロケについて、どのように準備をされましたか 撮影の半年ほど前から仏語レッスンを日本で受けました。当然台詞中心ですが、あまりに基礎的なところは飛ばすとどうにも応用が利きませんから、基礎的なところも含めつつ進行してもらいました。監督からは発音に関してはそんなに完璧は求めていないと事前に言われましたが、観客の方が聴いて違和感のないように、と撮影中も改善を努めました。2ヶ月強の滞在中はキッチン付きのアパートを要望しました。自分で食べるものの用意ができたのと、まるで役そのもののようにフランスで生活している人として街に溶け込めた気がしたのは良かったです。 ・本作は柴咲さんにとってどのような作品になりましたか 外国語でお芝居をすることの難しさ、そしてそれを上回る楽しさを教えてくださいました。 ▼ダミアン・ボナール 黒沢清監督の次回作に参加させていただけることを大変光栄に思い、また、彼が私にアルベール役を任せてくださったことにとても感動しました。この作品をご一緒できたことは私にとって非常に豊かな経験となりました。柴咲コウさんと一緒にこの冒険を経験できたこと、彼女と一緒に1000もの顔を持つこの探求に飛び込むことができたことは大きな喜びでした。復讐、痛み、狂気、幽霊、消失、祟りが入り混じる迷宮のような世界。この映画が日本で上映されるのが待ちきれませんし、皆さんと共有できるのをとても楽しみにしています。 映画『蛇の道』は、2024年6月14日(金)より全国劇場公開。
otocoto編集部