阪神歴代最多勝監督も…岡田彰布氏の今季は〝地獄そのもの〟 球団初の連覇懸かる戦いが一進一退、追い詰められた精神状態に
阪神・岡田彰布監督(66)が3日の首位広島戦(マツダ)に勝ち、藤本定義と並ぶ球団歴代監督最多514勝をマーク。この栄誉に至るまでの今季の道のりは人間不信、被害妄想など地獄そのものだった。 【写真】「マスクもろた」試合を観戦する阪神・岡田彰布監督に挨拶する日本ハム・新庄剛志監督 特別な1勝にも「そんなん関係ないやん。ウイニングボール? 誰も覚えてないやろ、要らんわ」と大方の予想通り素っ気なかった岡田監督。昨季まで在任6年間で80勝以上が4度、優勝2度(うち日本一1度)と上位安定に導く手腕はお見事と言うしかないが、球団初の連覇が懸かる今季の戦いは一進一退で、それどころじゃない心境なのだ。 昨年はほぼ固定で日本一を支えた打線は開幕から大山、近本、佐藤輝とまさかの不振続き。これまで一貫して担当コーチに任せてきたものの、どいつもこいつも笛吹けど踊らずで業を煮やした指揮官は〝宗旨替え〟に至った。貯金を使い果たして勝率5割で迎えた6月7日の西武戦を前に、野手ミーティングで「今からが開幕よ」とナインを鼓舞した後、自ら「この球にはバットをこう持っていくんよ」などと技術指導や助言を解禁したという。 ただ、効果てきめんとはいかず、なかなかチームが波に乗れないでいると、今度はストレスのはけ口をマスコミに求めた。「毎日毎日、気持ち切り替えてこっちはやってるのに、借金10や最下位チームみたいに見やがって。お前ら(番記者)は味方と違うんか? なんで足を引っ張るようなこと書くんや!」とメディア批判を解禁したが、ただの八つ当たりと受け止める向きもあった。 今春キャンプ終了時には「このチームはもっと強くなれる」と手応えを語っていたのに、フタを開ければ誤算の連続―。百戦錬磨の指揮官もそれほど孤独で、追い詰められた精神状態だったのだろう。 永遠のライバル、巨人では原前監督が第3次政権までで球団歴代最多1182勝を挙げている。まだ半分にも達していない岡田監督は、愛するタイガースを率いた初年度2004年に「巨人じゃなくて阪神が、はよ球界の盟主にならな。巨人に差をつけられたままではあかん」と力説。それから20年が過ぎても道半ばだけに、まだまだ通過点として頑張ってもらいたい。 (岩﨑正範)