たかが「中学受験の塾についていけない」だけで「不出来な子」と考えるのが早計な理由
子どもの勉強も心身の問題も「予備知識」がないと不安になる
わが子の学力を伸ばし、成長をサポートするために、親はどのような知識を身につければよいのか。灘中高から東京大学理科3類に現役合格した経験を基に受験指導を行う和田秀樹氏は、親向けのオンライン指導塾「親塾」を立ち上げ、講義をまとめた書籍も出版している。受験指導を経て「親教育」の重要性を痛感するようになったという和田氏に、昨今の親たちが抱える課題や「親塾」を通して訴えたいことを聞いた。 【画像で見る】和田式親塾の小学生コースには100の講座が用意されている 受験指導でさまざまな親と接する中で、和田秀樹氏は「親の思い込みが激しくなってきている」と危惧する。難関中高一貫校に入学して勉強漬けの生活を送らなければ、東大や医学部には合格できないと思い込んでいる親が多いというのだ。 「地方在住でも、中学受験に失敗していても、子どもに合った勉強のやり方を工夫すれば志望大学には合格できます。私の弟は10年に1人東大合格者が出るレベルの中堅校でしたが、『灘高校の勉強法を教えて』と私に頼んで要領よく勉強した結果、現役で東大に合格しました。ただし多くの場合、塾や学校はいちいち個別の勉強法を教えてくれません。その結果、非効率な勉強をして伸び悩み、自信を失うという悪循環に陥ります。やはり、親がわが子に合った勉強法を心得る必要があり、親自身が勉強のやり方や子どものやる気を引き出す方法を学ばなければならないと考えています」 近年は、発達障害や学習障害、いじめ、不登校、スマホ依存などに関する予備知識の少なさから、強い不安を抱えている親も少なくないという。 「日本では『他の子と同じことができなければいけない』というプレッシャーが強いですが、発達障害や学習障害の子どもにはそれぞれの特性に合った育て方があり、親に知識があれば長所を伸ばしていけます。また、例えばいじめられたときの対処法を知っていれば深刻な事態を防げますし、万が一不登校になった場合も、『保健室登校もある』『スクールカウンセラーに相談できる』と親が知っていれば、不安を軽減できるはずです」 親が知っておくべき知識をオンラインで学ぶ場として、和田氏は「親塾」を立ち上げ、小学生・中学生・高校生の3つのコースを設定。コースごとに押さえておきたいテーマで動画を100本(高校生コースは97本)用意している。扱うのは、先取り学習や受験勉強のテクニックなど学習法に関することから、発達障害・学習障害、いじめ、不登校、年齢に合わせた褒め方・叱り方、思春期への対応まで幅広い。 「少子化や核家族化が進んだ今、多くの親は悩みを一人で抱え込みがちで、不安が強くなる傾向にあると感じます。親が不安だと、子どもは親を頼りなく感じ、本音を相談しにくくなるケースもあります。『親塾』は、子どもの学習や心身の発達に関して必要な知識を身につけることで、親御さんに自信を持ってほしいとの思いで立ち上げたのです」