「長井の宝」気軽に見て 市が美術品などデジタルアーカイブ化
長井市は所有する美術品や歴史資料などのデジタルアーカイブ化に取り組んでいる。第1弾として地元の版画家・故菊地隆知さんの作品など500点超をインターネット上で公開している。専用ホームページも開設予定で、市は「長井の宝」を気軽に鑑賞できる仕組みを通じ、地域の文化的魅力の発信に力を入れていく。 全6巻にわたる新市史編さんの総まとめとなる取り組みで、集めた資料や作品などのデータをデジタルで残す準備を進めてきた。キーワード入力のほか、作者や分類の選択などで検索すると、制作年や寸法といった作品ごとの情報が写真付きで表示される。作者の足跡も紹介している。 今回公開した菊地作品は約420点。日本板画院展の最高賞・棟方志功賞に輝いた「SIMA―3」のほか、代名詞とも言える雪国の古民家を描写した作品など多彩なモチーフの作品が閲覧できる。 さらに、現在は一般公開されていない芳文庫ギャラリーの彫刻作品約80点も公開。「考える人」で名高いフランスのオーギュスト・ロダンをはじめ、戦後日本を代表する故佐藤忠良さんや故舟越保武さん、米沢市出身の故桜井祐一さんら彫刻家のブロンズ像などを紹介している。
市のホームページからアクセスでき、専用ホームページは1月中の開設を見込む。作品や資料を公開するだけでなく、作品や作者にまつわるトピックなども盛り込んで深掘りできる仕組みにする。 今後は市出身の彫刻家・故長沼孝三さんの作品、市内の古代の丘資料館にある土器や石器といった考古資料なども順次公開する予定。新市史編さん時に収集した写真や地図などの公開も見込み、担当する市観光文化交流課の海藤元係長は「市内外を問わず多くの人が長井に興味を持つきっかけにしたい」と話している。