【Wリーグプレーオフ】大一番でゲームチェンジャーとなった富士通の赤木里帆「ベストを積み重ねてきた成果を出せた」
「やるべきことをやれば、結果は自ずとついてきます」
ちなみに赤木は、セミファイナルの第3戦でも8得点5リバウンド4アシスト2スティールと攻守に渡って活躍。崖っぷちでプレーの質を上げられる強靭なメンタルの持ち主だが、オフコートでは全く違う様子だ。「(表彰式で隣の町田にメダルをかける時)緊張でメダルを取る時にガタっとなってしまって、瑠唯さんに『今、音鳴ったでしょ』と言われてしまいました(笑)。また、最初はメダルを逆向きにかけてしまいました」。コート上での物おじしないプレーとは真逆だった。 これで赤木は、高校(桜花学園)、大学(東京医療保健大)に続きトップリーグでも頂点に立った。だが、名実ともに日本最強の称号であるWリーグ王者は、格別な思いとなった。そこには、次の目標があるからだ。 「今まで高校、大学と優勝を経験させてもらいましたが、トップリーグで優勝することにはすごく意味があり、今までにないグッとくるものがありました。もちろん優勝する瞬間は高校、大学もうれしいです。でも自分には一流の選手になる夢があります。だからこそ、簡単じゃないとわかっていたトップステージで優勝できたのはうれしいです」 また、故障もあって消化不良に終わった昨シーズンからのこれ以上ないカムバックという意味でも、赤木にとって今回の優勝は特別なものとなった。 「去年は腰の怪我でシーズン後半に出られない悔しい経験をしました。ただ、試合に出られない状況でも自分にできるベストを尽くしてきました。完璧ではないですけど、その積み重ねの成果を今日は出せたと思います。まだまだ、もっと突き詰めていかないといけないですが、そこは良かったと思います」 そして優勝はうれしいが、「現状に満足はしていないです」とさらなる進化に貪欲だ。「やるべきことをやれば、結果は自ずとついてきます」と大きな手応えを得た赤木が、ここからどんな成長を見せてくれるのか、来シーズンが楽しみだ。
鈴木栄一