磨き上げたパフォーマンスに安心感を添えて マクラーレン750Sの実力チェック
磨き上げられたのは速さ、気持ちよさ、そして安心感
ピットの建屋からコースに向けて走り出す。今回は先導車付きの4ラップの走行とプロドライバーが運転する助手席に乗せてもらう試乗プログラムとなる。 1周目はタイヤを温めるために少しずつペースを上げていったが、走り出しから実に滑らかに路面に追従して走る心地よさが得られる。720でも定評があった油圧パワステはさらなる改良が行われたというが、750Sのものはクルマに急かされることなくナチュラルな操舵感を与えてくれるあたりもいい。 MAGARIGAWAのコースレイアウトはアップダウンが激しく、クルマにとって厳しいコースレイアウトといえるが、アクセル、ブレーキ、旋回という一連の操作が意のままに決まる。 さらにペースアップしていくと、V8 5Lツインターボエンジンとエキゾーストがメカニカルな中にシャープでクリアな音色を奏で、特別なモデルを操っている高揚感を与えてくれる。進化したプロアクティブ・シャシー・コントロール(PCC3)はじつに緻密な車体制御を行うもので、空力性能もあいまって、タイヤが路面に吸い付くような走りを披露する。 後輪駆動でありながら、750ps、81.6kg-mという圧倒的なパフォーマンスを着実に手中に収めているコントロール性は安心感をもたらしてくれた。 驚かされたのはブレーキング時の安定感。ハイスピードな領域からのストッピングはもちろん、連続するカーブでブレーキをリリースした時の車体のコントロール性も抜群だった。 クルマと一体感を得て走る気持ち良さと安心感はかつての720Sを超え、さらなる高みに到達していた。
試乗車のスペック
価格:3930万円(税込 オプションなし) 全長×全幅×全高:4569×1930×1196mm 最高速度:332km/h 0-100km/h加速:2.8秒 燃料消費率:12.2L/100km CO2排出量:276g/km 車両重量:1277kg パワートレイン:V型8気筒3994cc 使用燃料:ガソリン 最高出力:750ps/7500rpm 最大トルク:81.58kg-m/5500rpm ギアボックス:7速オートマティック タイヤサイズ:245/35R19(フロント)305/30R20(リア)
藤島知子(執筆) 香野早汰(編集)