磨き上げたパフォーマンスに安心感を添えて マクラーレン750Sの実力チェック
すべてが機能に裏打ちされた進化
いよいよ日本に上陸したマクラーレン750Sに試乗する機会を得た。その舞台となったのは千葉県南房総市にあるTHE MAGARIGAWA CLUB。スーパーカーのパフォーマンスを満喫するのに相応しい、セレブリティたちが集う会員制のサーキットだ。 【写真】THE MAGARIGAWA CLUBを駆け抜ける色とりどりの750S フォトギャラリーをみる (113枚) 全長3.5km、800mのストレート、80mの高低落差に上り坂の最大勾配が20%という、名だたる国際格式のコースの設計者であるティルケが手がけたテクニカルなコースとして知られている。 750シリーズは「マクラーレンの本丸」と言わしめる、マクラーレンではスーパーシリーズに位置づけられたロードカーで、2017年に導入した720の進化版。 720といえば、このクラスのライバルたちを凌駕するスペックもさることながら、スーパーカーのパッケージングをハイパーカーの性能をもって実現し、ドライバーエンゲージメントと称される抜群の操縦性と、オンロードにおける快適性を両立してみせたシャシー性能が特徴といえるだろう。 そんな720から750に向けた進化は外観にも現れている。まずはエアロダイナミクス。 アイソケットと呼ばれるヘッドランプはインテークが細く描かれ、ラジエーター用のエアインレットの形状を見直して冷却性能を最適化。2ピースだったスプリッターは一体化して延長し、ダウンフォースの強化を図っている。 カーボンファイバー製のリヤウイングはより高く、長くなっている。ボディサイドはシートからリヤタイヤの間にあるインレット形状を見直すことで、エンジンの冷却性能を高めているという。
極限のパフォーマンスと日常性能の向上を両立
インテリアは最新世代のものにアップデートされている。インフォテイメントのディスプレイはアルトゥーラと同じ高輝度なモニターが採用され、Apple CarPlayに対応。iPhoneの音楽アプリを使ってストリーミング再生をすれば、気分に応じたBGMを楽しめそうだ。 また、マップアプリと連携できるのも嬉しい進化といえるだろう。ステアリングは指先で操作できるスイッチが配置されており、運転中の使いやすさにも配慮されている。 カーボン製のレーシングシートは薄く軽量なもので、それでいてシート表皮は身体に馴染み、クルマと一体感を保つホールド性と心地良さが両立されたものだ。 さらに、マクラーレンの美点といえば、スーパーカーでありながら、死角が少ない運転視界を実現していること。カーボン製のモノコックによる極めて細いAピラー、ガラス張りのCピラーによって車内に光が射し込んで明るく感じられる。室内からV8エンジンを眺められるのもいい。 注目したいのはさらに軽量化されたボディと洗練されたシャシー性能。ヒューエルパイプなどを追加しながらも、超軽量アルミホイールやカーボンファイバー製のレーシングシート、サスペンション、ウインドシールドなどを見直すことで、車両重量はトータルで30kg低減している。 ドライバーエンゲージメントとオンロードでの快適性を高次元で両立させるユニークなサスペンションシステムはフロントが3%柔らかく、リヤは4%硬いセッティングに変更されているという。