<街ぶら>幹線道路埋め尽くした大阪・平野だんじり合同曳行
<街ぶら>平野だんじり9町合同曳行 幹線道路人で埋め尽くす THE PAGE大阪
大阪市平野区内をだんじりが駆け抜けることで知られる「杭全(くまた)神社 平野郷夏まつり」が11~14日、同区で行われた。9町の歴史あるだんじりが、街中を駆け抜けるこのまつりは、300年もの歴史を持つという。今回は、地元だけでなく他県からも見物人が来る人も多く、大阪市内最大規模のものとなっているこのまつりの見どころのひとつ「9町合同曳行」の模様を中心にお伝えする。
1年間がんばってきたことを出す日
300年以上続く同まつりは、商売繁盛などを祈願し、だんじりが駆けめぐる毎年恒例の行事。同区内9町のだんじりが登場し、古き良き街並みや高速道路の下や国道も走ることから、様々な場面を楽しめると見物人からも人気となっている。JR大和路・地下鉄谷町両線の平野駅近くで曳いていることもあり、毎年、奈良県など遠方から訪れる人も多い。 12日朝、いよいよ、だんじりが本格的に街を走る日が来た。各町の幹部らが気合いを入れて参加者らに激励の声をかける。 同区西脇の出発の様子を見ると、世話人会の柿本治さんは「耳にタコができるくらい聞いてると思いますが、ケガのない楽しいまつりとパフォーマンスを大いに発揮してほしい」と激励のあいさつを行う。また「だんじりのにぎわいをもって氏神様に感謝の気持ちを表していただきますようお願いします。氏神様そして杭全神社の神々様に守られておまつりする、これがいちばんのありがたさです」と名物委員長の西川正芳さんも続けた。 そして、だんじり曳行を統括する若頭も「きょうの9町合同曳行、宮入とどこにも負けへんようにと1年間やってきたと思ってます。それを教訓にして頑張っていこうと思いますんで。みなさん『頑張るように』」と気合い十分にあいさつした後、出発の時を迎えた。
「大阪手打ち」で家内安全祈願 伝承する歴史
「コンチキチン」というだんじり囃子と「ヨイヨイ」という掛け声などがあがると同時に、だんじりは歴史のある長屋などが建ち並ぶ街をゆっくりと進んでいった。昼の曳行では、地元の子どもらも綱を曳いており、各町盛り上がりをみせる。 各家の前では、ご祝儀を持ってだんじりを待つ人の姿も多い。そのご祝儀をもらった家に対し、感謝の気持ち、そしてその家の家内安全などの祈願を込めて「大阪手打ち」を行う。 「もひとつせぇ」「いおう(祝)てさんど(三度)」と手拍子を打ち一礼をする。そうした光景を見た子どもらが「これなに言うてんの?」「なんでこういうことすんの?」と大人に聞き説明をすると、同じように手打ちを行う子どももいた。300年にわたる歴史もこうして伝えられてきたのだろうか。 夜になると、だんじりの提灯が点き昼とは違った雰囲気に。ここからは法被を着た大人の男性を中心に曳行が行われ、女性らが扇子を手にその後ろで踊ったり掛け声をあげながら着いていく。堺市から家族で見物に来たという30代の女性は「泉州のだんじりでは、こうして踊るイメージはないので見ていてこっちも楽しい。同じ大阪でもこんなに違うんや思う」と話していた。