祝勝会で喜びを爆発させた山川穂高

　圧倒的な強さで4年ぶりにパ・リーグを制したソフトバンク。FA移籍1年目で不動の4番に君臨する山川穂高内野手（32）はMVP級の活躍で躍進を支えた。そんな大砲は2025年以降も進化の歩みを止めるつもりはなく、今オフには〝変身計画〟も練っている。 【写真】山川穂高が入団会見　笑顔なく冒頭に謝罪 　優勝を決めた23日のオリックス戦後、王貞治球団会長（84）は大砲をこうたたえた。「山川くんの加入が一番大きかった。夏場に強い本来の力を発揮して、この流れをつくってくれた。優勝を手にできたのは山川くんが8月に爆発してくれたことが大きかった」。32本塁打、94打点はともにリーグでダントツ。絶対的主砲・柳田を6月から故障で欠き、終盤戦の9月にも近藤が離脱した中、不動の4番の存在がチームを勇気づけた。 　昨季は女性問題の不祥事により前所属先の西武で無期限の公式戦出場停止処分を科せられた。大きな批判を浴びながらオフに国内FA権を行使して新天地での再出発を選んだ。一度は現役引退も頭をよぎった中での決断。影響は大きく、オフの自主トレ先の確保もままならなかった。失ったものを取り戻すべく、どう進むべきか…。性格診断テストを受けるなど自分と向き合うことから再スタートを切った。 「僕には野球しかない。野球で返すしかない。僕の場合はシーズンの結果がすべて」。沸々と燃えたぎる思いが今もある。FA移籍1年目で優勝が決まる135試合目まで全試合4番に座り続けた意義は大きい。「余韻に浸ることはありません。進んでいるんで」。日本一に向けたポストシーズンが待ち受けるが、山川はすでに〝その先〟を見据えている。 　9月に入り、ある行動が目を引いている。偉大な記録や実績を残した球界OBを直接訪問。30代中盤に差しかかることを念頭に、自主トレの追い込み方について〝取材〟を重ねている。王会長らと意見を交わし、結果を残し続けるためにオフの計画を立案中だ。 「11月のオフになった瞬間、今年はめちゃくちゃ走ろうと思ってるんです」。今季をフルに戦い、簡単には抜けない長年の勤続疲労もある。「やっぱり足が痛くなる。走って絞って体を強くする。キレを出すためのランニング系の動きを取り入れないといけない」。11月に33歳を迎える体重103キロの大砲は「絞る」というフレーズを連呼し、大胆なスリム化を予告した。 　山川に限らず、長期大型契約で加入するFA戦士に向けられる目はシビアだ。だが、山川に慢心の2文字はない。「僕には野球しかない」を愚直に体現していく。