放送30周年『古畑任三郎』 今泉が事件解決に導いたエピソード5選
「今泉さん、お手柄ですよ。古畑さんが手放さない理由が分かりました」
■「完全すぎた殺人」(第3シリーズ・第8話) ゲスト俳優の福山雅治が、かつての事故で車椅子の生活を余儀なくされた薬品の研究者・堀井岳を演じる。冒頭で古畑が語るのは「アームチェア・マーダラー」、すなわち、自室から出ずに座ったまま完全犯罪を目論む犯罪者がテーマだ。 昔の恋人・恵(戸田菜穂)が自身を裏切り、妻子持ちだった等々力(板尾創路)との結婚を決めたと思い込む堀井は、復讐を決意。等々力に「友情の証」として、爆弾を仕込んだ「ロダンの考える人」をプレゼントした。 堀井の策略で恵が犯人だと誤解した西園寺が捜査を進める中、古畑は堀井に疑いの目を向ける。確証を得たのは、研究所で開発中の接着剤で遊んでいた今泉が、誤ってアゴの下から手を離せなくなったのを見たのがきっかけで、犯人を追い詰める糸口となった。 ただ最後、初対面時の堀井の一言で「あなたを疑っていましたよ」と古畑は告げる。その理由はあえて記さないが、再び見返したくなる秀逸なエピソードの一つだ。 ■「最後の事件」(第3シリーズ・第10~11話) スペシャルをのぞく、連続ドラマシリーズの集大成となる作品。本放送時は2週連続となった大作で、江口洋介が演じる日下光司を筆頭とした犯罪者グループに翻ろうされる地下鉄駅員、古畑たちの奮闘を描いたスリリングな展開が続く。 日下がリーダーを務める過激派の動物愛護団体「SAZ」の1人が、裏切り者のメンバーを殺害。しかし、殺されたメンバーが持っていたカバンには、団体の秘密が書かれた「手帳」が入っており、挙句、カバンが地下鉄で保管されているとかぎつけた日下たちは、狂言の地下鉄ハイジャック事件をでっち上げ、公安職員になりすまして地下鉄に忍び込んだ。 偶然、地下鉄へのクレームを伝えに来た古畑と、同行した西園寺も事件に巻き込まれるはめに。その後、古畑に仲間はずれにされた今泉が、ハイジャックされていたはずの終電で現場の駅へ到着し、犯人に軟禁されていた西園寺を救出する。 やがて、真相解明のきっかけとなった今泉に、西園寺も「今泉さん、お手柄ですよ。古畑さんが手放さない理由が分かりました」と、太鼓判を押した。 (文:カネコシュウヘイ)