地震の損壊住宅まとめて公費解体へ 富山県の林氷見市長、住民との意見交換会で方針
氷見市は、能登半島地震で住宅や道路に大きな被害をもたらした地盤の液状化対策として、井戸を掘り地下水位を下げることを検討する。林正之市長が12日、地震で大きな被害が出た北大町、栄町、間島の住民を対象にした意見交換会で私案として提示した。損壊した住宅をまとめて公費で解体することに前向きな姿勢を示し、津波の避難場所にするため海に近いエリアの3階建て以上の民間ビルと協定を結ぶ方針も明らかにした。 意見交換会は3日の姿地区に続き、北加納コミュニティセンター(加納)と余川谷営農研修館(間島)で開催し、林市長は液状化被害が深刻な栄町、間島地区を視察した。 液状化対策として林市長は「大きな井戸を100メートル間隔で掘るなどして地下水位を下げたい」と述べ、15日に被害地域を視察する専門家の意見を聞き、判断するとした。対象地域を更地にして地盤改良するよりもハードルが低いメリットがあるが、地元の合意形成に約1年が必要で、工事はその後2、3年かかるとの見通しを示した。
公費解体は、公的支援を受けるために必要な罹災(りさい)証明書で全壊や半壊と認定された住宅が対象となっている。住宅や商店が長屋のように並ぶ栄町の新道町内会によると、77軒のうち39軒が損壊し、このうち地元に残る意向を示したのは9軒のみ。隣同士が損壊した住宅も多く、早期復興に向けまとめて公費解体することを求めた。林市長は「5軒、10軒まとめて契約して解体するというのであれば、なるべく早く着手できるようにしたい」と述べた。 罹災証明書の発行に時間がかかっていることや、認定基準への不満のほか、避難所の十分な防災用品備蓄、地元での仮設住宅建設を求める声も上がった。