4300万円の新型マクラーレン750Sスパイダーの爽快感が凄すぎた!!! 超高級なスーパーオープンカーに迫る
マクラーレンの新型「750Sスパイダー」が日本に上陸した! 早速試乗した小川フミオがリポートする。 【写真を見る】新型750Sスパイダーの内外装など(76枚)クーペとの違いもチェック!!!
あらゆる感覚に訴えかけてくる
“ピュアな高揚感”というブランド自身の表現がまさにぴったり。2023年4月に発表され、2024年2月に試乗の機会が提供されたマクラーレンの新型750Sスパイダーの感想はまさにそれだった。 先に乗ったのは750Sクーペだった。千葉・南房総市のサーキットで乗ったときは、従来の720Sよりパワーが30ps向上したにとどまらず、スーパーカーとして全方位的に良くなった! と、好印象を抱いた。今回は、興味のあった市街地での試乗だ。 750Sスパイダーのよいところとして、まっさきに挙げたいのは、デザイン。ホオジロザメをイメージソースにしたという有機的なシェイプは、理詰めでない、生物的な躍動感を強く感じさせて、見ているだけで気分が昂揚する。 ディへドラルドアという跳ね上がるドアのデザインは継承。スパイダーでは、コンパクトなコクピットの上にかぶさっているハードトップが電動で開閉可能だ。 スパイダーはどうしてもクーペより重くなるが、750Sの場合、炭素樹脂など軽量素材を贅沢に使い、クーペより49kg増に抑えているそうだ。それでいて開閉メカニズムはしっかり働き、開閉に要する時間はごく短い。見ていると、あっというまに、クーペからスパイダーに変身してしまう。 オープンで走っても風の巻き込みは激しくないが、さらにこのハードトップにはガラスルーフがはめ込まれていて、クローズドの状態でもオープン的な開放感が味わえる。これもユニークな特徴だ。 雰囲気のいいスパイダーといっても、走りでの妥協はなさそう。炭素樹脂のバスタブ型モノコックは、ルーフがなくてもボディ剛性に影響が出ないものだし、今回は新世代を謳う「PCCⅢ」なる油圧リンク式サスペンションシステムが搭載されている。 電動油圧アシストをもつステアリングシステムは、これまでよりクイックはステアリングギヤ比を採用するいっぽう、“洗練性を高めるため”のパワーアシスト用ポンプに改良をくわえたとされる。 ボディも改良の対象だ。速く走るための空力的処理をさらに強化。フロントマスクの造型、そこから車体上面と側面に空気を流す処理、さらに長さを伸ばして空気の剥離をよくしたリアエンドという具合だ。 リヤの造型は、720Sとけっこう違う。一つにまとめられた太い排気口が、テールランプの間に位置し、その上に、大型化し、かつ高さをあげた可動式リアウイングがそなわる。これが高速でのダウンフォースを生む。 はたして、市街地での、750Sスパイダーはどんなクルマだったかというと、スタイリッシュでとにかく周囲の注目を集める点では、従来と変わらない。華やかなクルマである。 なにより、ドライブの印象がよかった。クーペを試乗したときも、まっさきに感じたのは、ステアリングフィールがうんとよくなっている、という点だった。路面とのコンタクトがいい、別の言い方をすると、どんな路面を走っているかが、ハンドルを握る手のひらにしっかり伝わってくる。 内外のスタイリングをはじめ、鋭い加速や効きのいいブレーキ性能、排気音、上記の操舵感覚、さらに、風や温度など、あらゆる感覚に訴えかけてくる。これがオープンスポーツカーの醍醐味。 あえてひとつ希望をいえば、クワイエットモードのようなドライブモードが欲しい。俊足と背後から響く排気音で、ドライブしている私はつねに“やる気”モードに入ってしまう。それがスポーツカーなのだけれど、たまには流したいときもある。贅沢な望みなのだけれど。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)