秋ドラマ最注目『宙わたる教室』脚本家が語る、感動の名シーンの裏側
答えは原作の中にある
――第5話はほぼオリジナルでしたよね。 澤井:ちょうど夏休みの期間に当たる回です。原作では夏前の4章の次は、夏休み明けの5章に飛ぶので、その間に何が起きていたんだろう?と。でも答えは原作の中にあるというか。 5章の中にエピソード化されていない夏休みについての記述があり、そこに彼らの過ごした時間を想像することができたので、書いてみようと思いました。原作でとても気になっていたクラスメイトの麻衣についても描けるのではないかと思いました。
定時制高校の先生たちが面白い
――木内先生(田中哲司)と佐久間先生(木村文乃)は原作よりもすごく人物像が厚くなっていますよね。 澤井:脚本を書く上で、原作のモデルとなった大阪の定時制高校の先生方に取材させていただいたのですが、実際に学校に通ってみたいと思うくらい、みなさん素敵な先生なんです。熱血って感じじゃなくて、淡々としているけど熱い。ズカズカ踏み込むわけじゃなく、こうだから絶対こうしたほうがいいみたいな距離感でもない。1人1人をしっかり見られるからこそ、定時制で先生をすることをすごく楽しんでもいらっしゃる。 3人の先生のお1人は女性なのですが、白衣姿もきりりとしていて。佐久間のキャラクターにはその方の要素も少し入っています。定時制の先生方始め、JpGU(日本地球惑星科学連合)の大会などでお話を伺った惑星科学の先生方の言葉には、はっとさせられるものが沢山ありました。それらは藤竹だけでなく、木内や佐久間、また相澤や藤竹の恩師である伊之瀬の中にも込められたらよいなと思っていました。 ――佐久間先生の生徒への接し方は、悩みや問題を抱える子たちとどんな距離感でいればいいのか、どう接したら良いかわからない大人たちの指針になるなと思いながら見ています。 澤井:作品的にフィーチャーするのは藤竹と科学部のメンバー4人ですが、彼ら以外の登場人物にも、それぞれのストーリーがあってその物語は続いていきます。1話の中では拾いきれないものを複数話を跨いで描けるのは、やはり連続ドラマならではだと感じました。 ドラマ10「宙わたる教室」 NHK総合 毎週火曜 夜10:00~10:45 (再)NHK総合 毎週金曜 夜0:35~1:20(木曜深夜) Prime VideoでもNHK放送の翌週水曜0:00に最新話を配信
田幸 和歌子(フリーランスライター)