紅こうじサプリ 富士で2人入院、静岡県内疑い患者計6人 県「直ちに摂取やめて」
小林製薬の「紅こうじ」のサプリメントによる健康被害問題で、静岡県は28日、県内で関連が疑われる患者が新たに5人確認されたと発表した。うち2人は入院治療を受けた。いずれも腎機能障害を発症したが、重篤なケースはないという。患者は計6人となり、県内でも影響が広がってきた。 県衛生課によると、5人は大阪市が回収命令を出した「紅コウジコレステヘルプ」を摂取していた。摂取期間は数カ月から数年間。いずれも今年1~3月に発症した。手足のむくみや倦怠(けんたい)感、尿の泡立ちといった症状が出たり、血液検査で腎機能の数値が異常だったりした。6人の患者を保健所別にみると、富士が3人、中部、静岡市、浜松市が各1人。 太田智恵子衛生課長は「サプリメントが手元にある場合には直ちに摂取をやめ、健康不安を感じたら医療機関や保健所に相談してほしい」と呼びかけた。 県は28日、緊急の庁内会議を県庁で開き、食の安全に関わる部局の担当者約20人が情報共有した。厚生労働省が小林製薬に実施した聞き取り調査の結果や、回収命令が出た製品などについて報告があった。 富士市立中央病院 サプリ原因の腎疾患入院2件 「紅こうじ」のサプリメントによる健康被害問題で、富士市立中央病院は28日、サプリメントの摂取が原因とみられる腎疾患の入院の症例が2件あったと発表した。記者会見した高橋康人腎臓内科部長は、サプリが原因の可能性が高いとの見解を示した。 説明によると、2人は急性腎障害の中等または高度症状で入院した。1人は退院後も同じ症状を発症し再入院した。 同病院では、再入院の原因を調べるため各種検査を実施。類似症状のもう1人も同時に検査した。問診で小林製薬の「紅麹(べにこうじ)コレステヘルプ」の摂取歴が共通してあることが分かった。再入院した1人は、一度退院した後に摂取を再開していた。紅こうじによる健康被害の報道も受け、同病院は共にサプリの成分に起因すると判断した。 2人はもともと健康な成人で、年代や性別は非公開。吐き気などを訴え近隣の医療機関を受診後、同病院に入院していた。現在はいずれも外来治療を受け、快方に向かっている。 2人の急性腎障害の原因は、尿細管障害が共通していた。高橋医師によると、進行した腎疾患にみられる症状で、初期段階では見つけづらいという。高橋医師は「サプリメントを摂取した場合は(自覚)症状がなくても医療機関や保健所に相談することを考えてもいい」と話した。 紅こうじによる健康被害の報道後、同病院には数件の相談が寄せられている。
静岡新聞社