“馬淵監督の教え”を受けた宇和、一昨年代表・帝京五にノーノー勝利! 次戦第1シード松山商に挑む!【24年夏・愛媛大会】
雨天により2日間待ちわびた愛媛大会1回戦屈指の好カードで大記録が生まれた。その主役は編集部が「四国の逸材20名」にも取り上げられた宇和の3年生右腕・渡部 遥斗である。 【一覧】四国の夏を盛り上げる逸材20名! この日の渡部はストレートにこだわらず、「春の県大会でストレートにこだわって打たれた以降は、配球や変化球を練習してきた。先頭打者がチェンジアップを空振りしたのでストレート狙いだと分かった」と、多彩な変化球を低めに配する投球に終始。 「ツーシームの投げ分けもできていたし、気持ちも入っていた」と兵頭 和彦監督も振り返ったように、渡部は帝京第五打線に対し9回125球を投げ三塁を踏ませることなく、3四死球6奪三振無安打で27個のアウトと9個の0を並べた。 一方の打線は9回裏、ここまで帝京第五・竹村 勇希投手(3年)の右サイドから繰り出すボールに10三振無得点と苦しんでいたが、二死から安打と振り逃げに2つの盗塁で二・三塁のチャンスをつかむと、7番・兵頭 重春(3年・左翼手)が三遊間深くに転がすサヨナラ内野安打。一昨年王者を下す殊勲を果たした。 この瞬間、宇和・渡部は夏の愛媛大会では2014年の今治工・正岡 幸樹投手(1回戦vs津島)以来10年ぶり11人目となるノーヒットノーランを達成。ただし本人がノーヒットノーランに気付いたのは「ベンチから引き揚げてダウンをしているとき」。それだけ集中力の高い投球ができた証拠である。 かくして第1シードの秋春県大会王者・松山商への挑戦権を手にした宇和。この日8番・右翼手としてヒットを放ったのは、宇都宮 吏聖(3年)。今年閉校となる宇和三瓶分校の選手だ。同校出身(当時の校名は三瓶)の名将・馬淵 史郎監督によって企画された明徳義塾(高知)との交流を通じ、宇都宮を含む宇和の選手達は馬淵監督からさまざまなアドバイスを受けた。 名将から全国で戦うための振る舞いを学んだ選手19名、マネージャー2名に臆するところは何もないだろう。 大会前には改めて「どこが相手でも全員で一枚岩になって1つずつ目の前の敵を叩いていこう」と誓いあったチームは、「投手戦でどちらが粘れるかという試合になると思うので、落ち着いて投げたい」と話す渡部を中心に、7月20日(土)坊っちゃんスタジアムで「松山商」という巨岩を砕きにいく。