多様性を主張しながら排他的な現代社会 トランプ前米大統領に再び暗殺未遂も…行き着く先は「暴力が支配する世界」か
【ニッポン放送・飯田浩司のそこまで言うか!】 自民党総裁選(27日投開票)が佳境に入ってきました。候補の一人、小林鷹之前経済安保相は先週金曜(20日)、X(旧ツイッター)で次のようなつぶやきをしていました。 【写真】拘束されるライアン・ラウス容疑者。金網フェンス越しに銃身を突き出し銃撃しようとしたところを大統領警護隊員に見つかった 「最近、様々なメディアに出演させて頂いて感じること。多様性を主張されているにも関わらず、異なる考え方については排他的であるという自己矛盾。互いの考え方を尊重しつつ、包摂的でありたいものです」 ほぼ毎日、演説会や討論会に出席し、さらにメディア出演をこなすなかで、小林氏が体感として思ったことなのでしょう。 選択的夫婦別姓について、「旧姓の通称使用の拡大」などを主張すると、法制化を主張する方々と真っ向からぶつかって議論にならないこともそうです。一方で「今回の総裁選は○○一択!」などと、他の選択肢自体を批判するような排他的な言説を多く目にするようになりました。 小林氏の発信は、日本どころか、洋の東西を越えて「現代社会の本質」をえぐったものだと感じました。異なる意見を持つ人を極端に悪魔化するのは、むしろ欧米の方がその傾向が強いように思います。 小林氏のつぶやきから遡(さかのぼ)ること5日、ドナルド・トランプ前米大統領が再び暗殺未遂に遭いました。米南部フロリダ州のゴルフ場「トランプ・インターナショナル・ゴルフ・クラブ」でプレー中、大統領警護隊(シークレットサービス)が、銃を持って近くに潜んでいた男に向けて発砲。男は車で逃走したのちに拘束されました。 ライアン・ラウス容疑者はウクライナを強く擁護していて、SNSに「ウクライナ国境に行き、志願して戦いたい。死ぬこともいとわない」と書き込んでいました。それゆえ、ウクライナへの巨額支援に慎重な立場を示したトランプ氏に反発したのではないかと言われています。 米国は合衆国憲法修正第1条に「言論の自由」を掲げ、他人の身の安全を脅かさない限り、言いたいことを言ってよいという価値観を大切にしてきました。そのような国で、2カ月間に2度も暗殺未遂が起こること自体が異常事態です。すでに今回の大統領選は、内乱含みなのではないかと分析する方もいます。 こうした不寛容な社会が行きつく先はどうなるのか?