衆院選あす投開票 投票率の行方はいかに…政治への怒りで上がって諦めで下がる?「裏金」巡る有権者の受け止めもポイントに
27日に投開票が迫る衆院選の鹿児島県内各選挙区で、前職同士の直接対決など激戦が続いている。専門家は投票率について、自民党裏金事件を有権者がどう受け止めるかに注目。怒りにつながれば上がるが、政治全般への不信や諦めとなれば下がるとみる。 教育費が家計にずしり…国に根強く残る「家庭頼み」の予算措置と認識に、若者は将来への不安を拭えず
県内の衆院選投票率は中長期的に下降傾向が続いており、直近4回は50%台。有権者の半数近くが棄権している。 ただ、「争点が明確」「現職への反発が大きい」「混戦が予想される」などの条件下では一般的に投票率は上がりやすい。新型コロナウイルスへの対応が争点となった前回2021年の県内投票率(小選挙区)は57.71%。前々回から1.62ポイント上昇した。 「政治とカネ」で揺れた過去の事例では、ロッキード事件で元首相が逮捕された後の1976(昭和51)年、リクルート事件後の90年の衆院選では上昇。80%台に迫る高投票率となった。 一方、佐川急便事件やゼネコン汚職があり、結果的に非自民の細川護熙政権が誕生した93年は5.09ポイント下がっている。 志學館大学の原清一教授(政治学)は「当時は東西冷戦終結や政界再編など他の要因もあり、政治とカネだけで上がった下がったとは言えない」としつつ、今回は裏金問題などで自民に厳しい目を向ける人が増えると予想され、投票率が上がる要因は一定程度あるという。
一方で、政治全体や野党に関心や期待を持てず、「政権が変わっても社会は変わらない」といった政治不信が広がると低投票率の要因にもなると語る。 実際、野党陣営からは「政治への諦めの感情が有権者から伝わってくる。投票率が上がらないのでは」「有権者の怒りが投票につながればいいが、『他の政党も自民と同じ』と捉えられていると感じる」との声が聞かれる。自民の複数の陣営関係者も「盛り上がりを肌で感じない」などと投票率低下を予想する。 原教授は「政治とカネの問題以外にも有権者が注目すべき点はある」とも話す。県内では与野党前職対決や保守分裂、既存政党を批判する新しい政党の挑戦など興味深い構図や、接戦が予想される選挙区が多いと指摘。「わずかな票が結果を左右する可能性がある。自分たちの一票が政治を変えるという責任感を持って投票に行ってほしい」と呼びかける。
南日本新聞 | 鹿児島