宇垣美里さん「漫画は人生を豊かにしてくれるもの」【30代に必要な学びは漫画から】
物語を生きるキャラクターの考え方や生き様から気づきを得たり、コマの中のちょっとした小ネタから雑学を学んだり。働く大人こそ、漫画を読むことで、まだまだ自分の世界は広げられるはず! 漫画好きで知られるフリーアナウンサーの宇垣美里さんにお話を伺いました。 【写真】働く大人に読んでほしい!学びがある漫画まとめ
宇垣美里さん うがき みさと●1991年生まれ。兵庫県出身。 フリーアナウンサー、女優。週刊文春にて「宇垣総裁のマンガ 党宣言!」を連載。『今日もマンガを読んでいる』(文藝春秋) というタイトルで連載が書籍化されている。
《働く私と漫画》「漫画で描かれている物語も価値観も雑学も すべて、私の人生を豊かにしてくれる」
漫画をはじめとする様々なエンタメから得た知識や価値観が自分自身を形成している、と語ってくれたのは、名作から連載中の新刊まで数多くの漫画を読んでいる、宇垣美里さん。 「私は子どもの頃に『美少女戦士セーラームーン』や『カードキャプターさくら』に夢中になった世代。当時アニメ化もしていましたが、特に漫画の耽美でうっとりする絵柄に惹かれていました。女の子が戦うこの2作品によって、“自分の住まう星や好きな人は自分の手で守る!”という価値観が生まれ、非常に自立心の強い性格に育ったように思います。また、この作品たちからは、様々な人間関係のかたちも学びました。男性が男性を好きになったり、身を引く形の愛の表現もあったり……。人と人との関係は多様で当たり前、という感覚が、これらの作品のおかげで知らずしらずのうちに身についていきました。小学校低学年でこの2作品に出合えたことは、私の人生でとても意味のあることだったと感じます。どちらも今読んでも色あせない、素晴らしい作品です」 また、宇垣さんは、漫画作品のスピード感も魅力のひとつだと語る。 「週刊や月刊という短いスパンで描かれているからこそ、まさにそのときの世の中の問題が描かれる作品も多いと感じます。私の大好きな『違国日記』という作品では、医学部入試で女子生徒が不正に点数を引かれていた問題についてすぐに触れ、怒りや悲しみを表明していました。このビビッドさが魅力的だから、私は新刊の漫画を月に何冊も買うんです」 漫画から得る“学び”については、一生使わないだろう、というような雑学が好きなのだそう。 「この漫画を読んでいなければ一生知らなかったかも、という知識を得られるのも漫画のいいところ。たとえば“粉塵爆発※”。日常ではほぼお目にかかれない現象なのに、漫画好きならなぜか知っている代表的なワードです。ピンときた読者の皆さんにも問いたい。あなたの粉塵爆発はどこから? 私は『黒執事』からです(笑)。そのほかにも『金田一少年の事件簿』では6体のミイラを7体にする方法を。『MASTER KEATON』では、砂漠を歩くにはスーツがいいこと、石畳の上に石けん水を流すと戦車を撃退できることを知りました。おそらく私の仕事や人生に、直接的には役に立たない雑学ですが、それって何か問題でしょうか? 漫画によっていつの間にか入ってきた知識こそ、自分の世界を思いもよらない方向へと広げてくれる気がする。漫画からは、そんな“人生を豊かにする、いい意味で無駄な教養”も学べると思っています」 ※小麦粉、砂糖、金属粉などの可燃性の粉塵が空気中に浮遊している状態で着火し、爆発を起こす現象。漫画をはじめとする創作作品の中では、密室に追い詰められたときの反撃手段などに使われることがある