阪神ルーキー、江越の決勝3ランの裏に「掛布の教え」
開幕3連勝以来の連勝を引き寄せたのは、ドラフト3位のルーキー、江越大賀(22歳、駒沢大出)のバットだった。 28日、甲子園での阪神ーヤクルト戦の二回。一死一塁からマートンにエンドランを仕掛けて一、三塁の先制のお膳立てができたところで江越が打席へ向かう。 「初球から結果を恐れず思い切っていこう!」 その初球。ルーキーは成瀬の投じたインサイドのスライダーをフルスイングで空振りした。 「力んだ。もうちょっと冷静にバットをコンパクトに」 ストライクをひとつ取られた江越は、そう考えたという。 変化球にタイミングのあっていないスイングをみて、成瀬ー中村のバッテリーは、続けてスライダーを選択。そのボールが外から甘く入ってきた。ドンピシャ。打球は高く舞い上がりレフトスタンドに飛び込んだ。 「感触がよかった。いったなあという感じでした」 プロ初本塁打、初打点となる3ランが終わってみれば貴重な決勝打。 メッセンジャーと共に初のお立ち台に呼ばれた江越は「本当に最高の気持ちです」「打った後? 何も覚えていないです」と初々しく答えた。 和田監督も「思い切りのいいスイングが持ち味の選手。あの場面、なんとか1点は欲しかったが、一気に3点だから非常に大きかった」と手放しだった。試合前、打撃練習を見守りながら「おまえの持ち味は思い切りのいいスイングなんだから、結果を考えずにやればいい」と声をかけたというが、まさにルーキーらしい思い切りが、不振の打線に映えた。 遠投120メートルの強肩と50メートルを5秒台で走る走力、バッティングは荒いがその身体能力の高さを買われてドラフト3位で指名された。沖縄キャンプでは特大アーチを連発して「真弓2世」「新庄2世」と評され、開幕1軍に生き残り、2試合でスタメン起用されたが、15打席でヒットは、わずか1本、バント失敗や守備での甘さを露呈して「力不足」と判断されすぐに2軍へ落とされた。プロの洗礼を浴びたがファームで待っていたのが、“レジェンド”のGM付育成&打撃コーディネイター掛布雅之氏の指導だった。