【プレイバック’94】テレビ画面で男女が「ごた~いめ~ん!」出会い系「カラオケねるとん」とは?
10年前、20年前、30年前に『FRIDAY』は何を報じていたのか。当時話題になったトピックをいまふたたび振り返る【プレイバック・フライデー】。今回は30年前の1994年10月14日号掲載の『他店のコとデートチャンスッ 名古屋で生まれた新システム「カラオケねるとん」の遊び方』を紹介する。 【高い?安い?】「カラオケねるとん」の利用料金は? ’80年代終盤にヒットした、とんねるずがMCをつとめるグループお見合い番組『ねるとん紅鯨団』の影響で、男女の出会いにおいては「ねるとん」という言葉が盛んに使用されるようになった。合コンやお見合いパーティーがこぞって「ねるとんパーティー」なる名称になっていたのだ。そんななか、名古屋で誕生した新商売「カラオケねるとん」を紹介した記事だ。(以下《 》内の記述は過去記事より引用)。 ◆カラオケボックスで「ねるとん」ができる 《野郎同士でカラオケに行くほど、ムナしくワビしいことはない……と思いつつ、 今日もヤケでガナリ立てている男性諸君。これからはカラオケボックスで「ねるとん」できる時代なのだといったら、さあ どうする? そんな夢のような話を可能にしたのが、 名古屋を中心にお目見えした「KNN(カラオケネルトンネットワーク)だ。》 システムはルーム内に設置された電話機にプリペイドカードを入れてコールする。すると、男性からのコールは他店の女性だけのルームに、女性からの場合は男性に自動的にTV電話がつながるというもの。そのあとは画面に映った相手の顔を見ながら、話をするのもデュエットするのも自由。気が合えば外で待ち合わせをしてリアルに会うこともできるという。特徴的なのは他店のルームにいる相手とつながる点だという。 《同じカラオケボックス内で「ごめんなさい」した相手が近くにいるほど気まずいことはない。が、このシステムならそんな心配も御無用。意に沿わない相手が出たら、切ってしまえばそれでオシマイというワケだ。 では、かけた時に相手がいなかったらどうなるか? その場合は自動的に待機中となるから、コールがあるまで、期待しながらカラオケに興じていればよい。 「テレクラと違って、声だけでなく相手の顔も見えますし、たいていが複数対複数なので気軽に利用できます。別に恋愛に結びつかなくても、サークルの勧誘とか、出会いの場づくりに大いに利用していただいています」(KNN企画室長・A氏)》 ◆お客さんからの評判は…… 実際に利用したお客さんからも好評だったようだ。 《「やっぱり、相手の顔が見られるというのが一番のポイントよね。お互い、カラオケやってるんだから軽い気持ちでかけられるっていうのもあるし。で、イヤだったら即キャンセル・ボタンを押しちゃえばいいんだもん」(21・女子大生) 「何回か利用したけど、ヘンなコに当たったことはない。顔が映るとなると、ある程度自信がないとかけてこれないもんね。けっこうレベルの高いコが多いですよ」(24・サラリーマン)》 当時の記事は以下のように書いている。 〈現在は名古屋エリアのみだが、今後は東京や大阪エリアへも進出を計画しているという「カラオケねるとん」。野郎だけでカラオケに行くときも、あらたな「出会い」としてブームを呼ぶのだろうか〉 「いきなり顔出し」はハードルが高かった? この「カラオケねるとん」残念ながらまったくブームにはならなかったようだ。ネットを調べると大阪や中国地方などに存在した形跡がわずかにあるので、名古屋以外にも展開はしていたようだが、知っている人はほとんどいないだろう。 ’90年代の出会い系といえば、テレクラやツーショットダイヤルの全盛期。いわゆる「援交」目的での利用が話題になりつつあったなかで、この「カラオケねるとん」はかなり健全な部類の〝出会い〟だったと思われる。しかし、カラオケ目的で来ている人から見れば余計なサービスでしかないし、何より最初からいきなり〝顔出し〟での出会いはなかなかハードルが高くて、利用者が増えなかったのも納得がいく。 オンラインでのミーティングが一般的になり、携帯でのビデオ通話も当たり前になった現在でもこのようなサービスは登場していない。実際には一部のカラオケ店では、離れた場所にいる相手と通信で繋いで一緒に楽しめるサービスも存在するのだが、知らない同士で繋がる「出会い系」のサービスはやっていないのだ。もしかすると「カラオケねるとん」は現在よりもはるかに先を行くサービスだったのかもしれない。
FRIDAYデジタル