大補強をしたオリックスは勝てるのか
今オフの“ストーブリーグ”で圧勝したのはオリックスだった。 FA戦線では、西武優勢が囁かれていた日ハムの小谷野を強奪。阪神、楽天、西武、中日ら複数球団との争奪戦になっていたメジャー凱旋の中島もオリックスに軍配が上がった。32本塁打、90打点のペーニャが退団したが、横浜DeNAのブランコを獲得。先発投手陣強化のため広島から今季9勝8敗、防御率4.58のバリントンまで補強した。 2年前には、韓国の大砲、李大浩(イ・デホ)を獲得するなど、ここぞというタイミングでは、野球に精通している宮内オーナーの号令の下、お金を使うことを厭わない球団だったが、今回ばかりは、本気も本気。補強に30億円とも40億円とも言われる資金をかけた。去就が心配されていたエース、金子の残留も24日に決定。右肘手術の影響が懸念されるが、開幕には、ギリギリ間に合うという。残留会見に同席した西名球団社長は「我々(フロント)も来年こそ優勝という思いになっている。色々な選手を獲得してチーム力を高めている。金子君が残ってくれたことは心強い」と胸を張った。 今季、オリックスは、わずか2厘差でソフトバンクに屈した。10・2決戦までもつれ込み、ディクソン対大隣で始まった1戦は延長戦となったが、最後は松田のサヨナラホームランで幕切れとなった。あと一歩で18年ぶりの優勝を逃して、クライマックスシリーズも第1ステージで日ハムに敗れた。 チーム防御率は、12球団で唯一の2点台で2.89。先発は、金子、西、ディクソンらを軸に6枚揃っていて、中継ぎ、抑えにも、比嘉、佐藤、馬原、岸田、平野が控えていて、救援防御率も2.49。だが、チーム得点に関しては、ソフトバンクの607点に対してオリックスは584点。逆転勝ちもソフトバンクが33試合あるが、オリックスは28試合と後手を踏んでいて打線強化がチームの補強ポイントだった。 左右共に代打が不足するなど層が薄かったが、1番を打っていたセカンドの平野が9月の死球で戦線離脱すると、その穴が打線全体に波及して、勝負どころでもう1枚も2枚も駒が足りなかった。森脇監督は「中島、小谷野には複数ポジションを守ってもらいたい」と語っているが、新戦力の2人に内野をユーティリティに動いてもらうことで、来季は攻撃に厚みを作ろうと考えているのである。フロントがここまで力を入れると、逆に現場サイドには負けられないプレッシャーがかかるものだが、森脇監督は、「フロントの動きに感謝している。来季はその期待に応えたい」と、もう一歩前へ進む自信を深めている。