大補強をしたオリックスは勝てるのか
では、大補強をしたオリックスは勝てるのか。 引退したばかりの前千葉ロッテの里崎智也氏は厳しいという意見だ。 「新入団選手は、どうしても結果を出さねばならないので、チームのことよりも自分のことが最優先になります。中島選手にしてもメジャーで結果が出せなかったし、小谷野選手も同一リーグの移籍でプレッシャーはあるでしょう。ブランコ、バリントンという外国人も同じ。 そうなるとスタートがよければいいが、そこで躓くとチームがバラバラになってしまう危険性があって、チームマネジメントがむずかしくなります。また新人ながらローテーに入った吉田、東明、2年目の松葉らに“2年目、3年目のジンクス”という不安も残っています。彼らが、このオフをどう過ごしているかが重要で、来季は研究もされてきますし、壁にぶつかる可能性も捨てきれません。西が後半戦でつかまり出していたことも気になります。 昨年、あれだけの大補強をしながら苦しんだソフトバンクを見ればわかるでしょう。大補強の裏には死角があるのです。対して、そのソフトバンクの来季は、未知な部分が少なく感じます。柳田、今宮らのこれまでは自分のことしか考えられなかったプレーヤーが、経験と結果を残したことで自信をつけて少し視野が広がってくるでしょう。メジャー帰りの松坂に関しては未知数で、その先発陣の不安と、岡島が抜けた中継ぎ左腕の部分をどう埋めるかという課題はありますが、総合的に考えて僕は、オリックスよりもソフトバンクに分があると見ています」 確かに里崎氏が指摘したように、メジャーに挑戦した2年間で怪我をするなど遠回りしてしまった中島が、どんな状態で復帰するのかもわからないし、ブランコが、ピッチャーのレベルが上がるパの野球に対応できるのかという懸念もある。先発陣の不安は、広島から獲得したバリントンでカバーができるが、大補強イコール優勝という机上論がスンナリと通用するほど、長いペナントレースが甘くないのは事実。 1994年に、伝説の10・8決戦で、中日を破って優勝した長嶋巨人は、連覇を狙い、そのオフにヤクルトから広沢克己とジャック・ハウエル、広島から左腕エースだった川口和久をFA補強。資金力と巨人ブランドを背景にした大補強で、開幕前には2年連続の日本一は間違いなしという下馬評が立ったが、終わってみれば、川口がわずか4勝に終わるなど、ペナントレースでは3位に倒れ、野村克也氏に率いられたヤクルトが優勝している。 筋書きのないドラマが野球の醍醐味ではあるのだが……2015年シーズンのパ・リーグのペナントレースは、本気モードのオリックスを中心に回ることだけは間違いない。