次世代ロータリー搭載 マツダ「RX-VISION」への4つの疑問
すでに多くの方が耳にされている通り、30日から始まった第44回東京モーターショーで、マツダは次世代ロータリーエンジン「SKYACTIV-R」を搭載したコンセプトスポーツカー「Mazda RX-VISION(マツダ・アールエックス・ビジョン)」を公開した。 【写真】ロータリー復活への秘策 “夢のエンジン”が抱える大きな課題 写真を見てわかる通り、RX-VISIONは古典的なロングノーズ・ショートデッキのFRらしいプロポーションを持っている。確かにプロポーションは素晴らしい。これほどまでに均整が取れた大人のクーペデザインは日本車の歴史の中でも屈指だろう。 しかし、このクルマを見て筆者は4つの疑問を抱いた。心をよぎった順に挙げてみる。 (1)本当に売るのか? (2)RX-7後継なのか、RX-8後継なのか? (3)なぜコンパクトなエンジンを使うのにロングノーズなのか? (4)どうやって排ガス規制をパスするのか? 今回はこれらの疑問について検証してみたい。説明の都合があるので、答えの順番は前後する。まず最初にそのロングノーズの理由からだ。
「最高に美しい形」を作るチャンス
ご存知の通りロータリーエンジンはコンパクトさが大きな特徴であり、長いフロントノーズは必要としない。爪に火を灯すようにサイズと重量を徹底的に削ったロジカルなNDロードスターの設計と比較するとここは疑問である。 必要もないのにノーズを伸ばせば、車両の重心から離れた位置で重量が増加するので、運動性能にとってマイナスである。しかしNDロードスターの例を見ても、マツダがそれを知らないでやるはずもない。ではマツダは一体何故こういうデザインをしたのか? ターンテーブル上で照明を艶やかに反射しつつ面の変化を見せるRX-VISIONを眺めながら、その率直な疑問を執行役員の藤原清志常務にぶつけてみると、極めてあっさりとした答えが帰ってきた「そりゃ前田が好きだからですよ」。「前田」とは同じく執行役員であり、デザイン本部長を務める前田育男氏のことである。 藤原氏の説明を補足するとこういうことである。マツダは、今回まず究極のFRデザインを作りたいと熱望した。「かっこいい」とは何か。まずはそこに向けて今の「魂動」デザインで培ったノウハウを振り絞ってみたという事だろう。もちろんインダストリアルデザインであるからには、内包するメカニズムや、使い勝手という現実も必要だ。