【田辺裕信のゆる~い話】輸送のない北海道シリーズ 滞在競馬で変わる馬もいます
馬はデビュー戦を経験すると「競馬」、そして「競馬場で何をするのか」を覚えます。競馬、競馬場は苦しいものと記憶するのか、「広いところで走るんだ」という感じで、嫌な記憶にならないかは馬によって違うでしょう。 実際に、2度目の競馬でガラリと雰囲気が変わることは珍しくありません。ただ、初めて、あるいは2度目の競馬で嫌な思いをすると、イレ込みやストレスの原因につながる可能性があると個人的に思っているので、勝つことを目指すなかで、できる限り気を使うようには心がけています。 競馬を経験すると、馬運車に乗る段階から緊張感があるのかもしれません。行き先は牧場に放牧というケースもありますが、最近では放牧先でもトレーニングをすることが多いので、どちらにしても車に乗り込むときには緊張感を持っているでしょうね。 そういう意味で、北海道シリーズは、ほとんどの馬に輸送がありません。滞在して新馬戦を迎える馬は、また違った覚え方をしているのかも。滞在で競馬を迎えるのは、輸送があるときと比べて緊張感が違うのかもしれません。輸送が苦手な馬やイレ込みが激しい馬が、滞在競馬で良い結果を出すことは珍しくありませんからね。 実際、厩舎サイドも馬の特徴に合わせて戦略を考えていますし、乗っていても滞在でガラリと変わることはよくあります。北海道に限らず、関東馬の現地調整が増える小倉開催など、滞在という面も夏競馬のポイントだったりするかもしれません。(JRA騎手)