第15回 週刊首里城 未来に残る首里城を作りたい 若手漆職人の思い
ここからは首里城の今を伝える”週刊首里城”です。最近の首里城はというと城内で最も美しい門と称される継世門。昨年度から行われていた改修工事が10月末で完了し塗りたて・ぴかぴかな姿で出迎えてくれます。 復興の現場では、瓦工事が進んでいます!注目は縦横はもちろん斜めから見たときの屋根のライン。きっちり揃っていて美しいですよね。令和の正殿のこだわりなんだそうです。 このように着々と復元が進んでいますが、今回は「琉球の技術」で復興を後押しする若き職人を紹介します。 復元が進む首里城正殿に何やら身体をそらせたり寝転がったりして手を動かす職人たちの姿が!取り組んでいたのは「漆の塗装」です。まるで漆器に施すような複雑な工程を踏むことから城全体が「巨大な琉球漆器」だと称される首里城。あの艶やかで美しい赤を取り戻そうと、ことし2月から塗装工事が始まっています。 漆職人 又吉紘士さん「自分がやったところがちゃんと首里城の一部になっているのを見たとき一番実感する。自分のやりがいというか」 琉球漆芸の技法が詰まった首里城に携わることが目標だったと話すのは若手漆職人の又吉紘士(またよし・ひろし)さんです。手順を重ねることで洗練された美しさが現れる漆芸の魅力に心惹かれたのは大学時代。院でも学びを深め、今年の春現場入りしました。 又吉さんが担当しているのはここ!正殿の正面。「向拝柱」の作業です。 漆職人 又吉紘士さん「研ぎすぎも良くないので実際に目で見ながら触ったりして研ぎ残しがないかっていうのを確認して進めていく」 現在行っているのは「空研ぎ」と呼ばれる木地を滑らかにする作業。実は首里城、初めから赤い顔料を塗るわけではなく、木地を整え下地となる黒漆を重ねるなど何十もの工程を経て最後の仕上げにあの「赤」が施されます。 また、これまで取り組んできた作品づくりとはスケール感が異なる首里城の現場だからこそ感じることも。 漆職人 又吉紘士さん「作ってきた作品は動かしながら作業ができるが首里城に合わせて職人一人ひとりが動いていく。」 少し手の届きにくい場所だったり大変な姿勢だったり大変な作業が結構多いが、そういうところがやはり面白くて、こうしたらこんな風に作業できるんだろうと考えながら毎日作業している」 先人たちの技を再現する中で、学び得るものは非常に大きいと話す又吉さん。復興に携わる一員として大切にしている思いがあります。 漆職人 又吉紘士さん「100年、200年、未来に残す首里城」「これからも100年、200年どんどん続いていくような首里城を見せられるように、しっかり作って、みんなで力を合わせて沖縄の象徴として長く残るようにしていきたいなと思う」 個人的には首里城を通して漆を知ってもらって、そこで漆を身近に感じてもらって、漆をやっていく人が増えていったら」 未来の沖縄に首里城を、琉球漆芸を残す。又吉さんの挑戦は始まったばかりです。 又吉さん24歳。今年の5月から再建の現場で作業している。又吉さんの作業の様子は再建現場でご覧いただけます!ぜひ細かな職人技に注目してみてください。