成田空港、4期ぶり最終黒字 訪日客が過去最高=24年3月期
成田空港を運営する成田国際空港会社(NAA)が5月30日に発表した2024年3月期通期連結決算によると、純損益が100億6100万円の黒字(23年3月期は502億1800万円の赤字)で、4期ぶりの最終黒字となった。水際対策の撤廃や円安が後押しとなり、訪日客が過去最高を記録したことで黒字転換となった。 2025年3月期の業績見通しは、コロナ前に迫る水準までの回復を想定していることから、増収増益を予想している。 30日に都内で会見したNAAの田村明比古社長は「LCCをはじめ航空各社の増便に加え、中国からの旅客需要が2023年度は年度後半の今年に入ってから回復が本格化したが、今年度は通年化すると見込まれる」と見通しを述べた。 ◆24年3月期 売上高は2169億2800万円(前期比65.2%増)、営業損益は129億6700万円の黒字(23年3月期は317億8800万円の赤字)、経常損益は106億8700万円の黒字(同482億9700万円の赤字)となった。 国際線と国内線を合わせた総発着回数は23.6%増の21万9000回、総旅客数は71.9%増の3525万人、国際貨物量は16.0%減の184万トンとなった。総発着回数は3期連続で前期を上回った。総旅客数も3期連続で前期超えとなった。 事業分野別では、空港運営事業が国際線発着回数が前期を大きく上回ったほか、訪日客に加え国内線旅客も開港以来の最高値を更新したことで増収となった。リテール事業は国際線旅客の大幅増に加え、円安も影響し大幅な増収となった。 ◆25年3月期予想 2025年3月期通期の連結業績見通しは、営業収益が2024年3月期比12.1%増の2431億円と4期連続の増収、営業利益は54.2%増の200億円、経常利益は56.3%増の167億円、純利益は20.3%増の121億円で、2期連続の黒字を見込む。 航空需要はコロナ前に迫る水準まで回復すると想定。国際線はLCCの増便に加え、中国からの訪日需要の回復が通期化する見通し。国内線の旅客数は前期並みの水準での推移を見込み、新規貨物便があることから発着回数が前期を上回るとみている。2024年度の国際線と国内線を合わせた総旅客数は前年度比13.2%増の3990万人、総発着回数は14.2%増の25万1000回、国際航空貨物量は2.9%増の190万トンを見込む。
Yusuke KOHASE