今田美桜、2025年度前期連続テレビ小説『あんぱん』のヒロインに決定 やなせたかしの妻“ハチキンおのぶ”を演じる
今田美桜が、2025年度前期の連続テレビ小説「あんぱん」(NHK総合ほか)のヒロインを務めることが決定。2月2日にNHK放送センターで行われたヒロイン発表会見に、脚本を担当する中園ミホ氏、制作統括の倉崎憲氏と共に登壇した。 【写真】笑顔でハートのポーズをする今田美桜 ■アンパンマンを生み出したやなせたかしと小松暢夫婦がモデルの物語 連続テレビ小説第112作目となる同作は、原作はなく、モデルとなるやなせたかしと小松暢の夫婦の物語を大胆に再構成したオリジナル作品。戦前・戦中・戦後と激動の時代を生きたやなせと、やなせと共に生き、けん引し続けた“ハチキンおのぶ”の小松が、あらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現したアンパンマンにたどり着くまでの人生を描く。脚本は連続テレビ小説「花子とアン」、大河ドラマ「西郷どん」の中園氏が担当する。 ■今田美桜「やっと皆さまにお伝えすることができてホッとしている」 全身白の衣装で登場した今田は、緊張した表情を見せるも「やっと皆さまにお伝えすることができて、ホッとしているのが今の心境です。撮影はまだ少し先になりますが、ノブさんの思いを抱きながら、日本の朝を元気にできるように、精いっぱい努めたいと思います。本日はよろしくお願い致します」とあいさつした。 そして、ヒロイン決定を知らされた時の状況について「最終面談をしたいとNHKさんから連絡があり、朝の8時にお伺いをすると、あんぱんとコーヒーが用意されていまして(笑)。朝の8時だったので、今放送中の『ブギウギ』を見ながら、“受けていただけますか?”とサプライズで聞いていただき。“よろしくお願いします”とお答えすると、皆さんがクラッカーを鳴らしてくださり、すごくうれしかったのを覚えています。(ヒロイン決定に)最初は、ピンと来なくて…。じわじわといろいろな感情が巡ってきて、一瞬、椅子を後ろにひっくり返して、うわ!ってうれしくなりました」と振り返った。 ■中園ミホ、今田について「こんなにドキンちゃんに似ている女優さんいない」 今回、3365人の応募の中からオーディションが行われ、ヒロインに決定した今田。そんなオーディションで特に印象に残っているエピソードについて、「ビデオ審査で、アンパンマンのマーチの3番までの歌詞を、いろいろな感情で伝えるというオーディションがありました。すごく難しかったなという思いもありながらも、そういうことをする機会は少ないので、新しい経験ができ楽しかったです」とコメント。 また、同作のモデルとなるやなせの印象を「いろいろな資料などを拝見させていただき、とても温かくて柔らかくて、その上、面白い方で、さらにいろいろな経験をされている方だなとも思いました。なので、ノブさんとの二人の空間は、すごく明るく笑顔だったんじゃないかなとか、そんな想像をしています」と明かした。 さらに、アンパンマンの中で好きなキャラクターを聞かれ、「ドキンちゃんです!天真爛漫さが大好きです。高校生くらいの時には、ドキンちゃんのキーホルダーをつけていました」と笑顔で答える。 続けて、中園氏は「私もドキンちゃんです!私もよく食べるので、ばいきんまんに『おなかすいた!』って言うドキンちゃんにいつも感情移入します。あと、選考が終わってから気付いたんですが、ドキンちゃんと美桜さんの顔を見比べて『こんなにドキンちゃんに似ている女優さんいないよね!』ってみんなで話していました」と語った。 一方、倉崎氏は「僕は、ばいきんまんです。ばいきんまんは悪なのか?と、掘り下げると深い議論になりますが、周りを見ていると、意外と子どもに人気があるキャラクターなんだなと思います」と話した。 ■今田美桜「ノブさんと同じように楽しく撮影できたら」 高知が舞台となる同作。高知の印象を、今田は「2年前の夏に初めて高知を訪れ、川に入ったりおいしいカツオを頂いたりしました。一番の思い出は、ご飯を食べた後に派手に転んでしまい(笑)。そこのお店の店主さんが手当をしてくださり、“スイカ食べる?”と声を掛けていただき、すごく温かく迎え入れてくださいました。優しくて温かい方ばかりでまた行きたいなと思っていて、今回、高知県が舞台となる物語に出させていただけるのはすごくご縁だなと感じてます」とエピソードを披露。 また、土佐弁で男勝りの女性のことを表すハチキン。そんなハチキンのヒロインを演じるにあたり、「はつらつとしてやなせさんを引っ張っていく存在でもありますが、引っ張ろうとして引っ張っているよりは、ノブさんの明るくて天真爛漫で人生を楽しんでいるところが、自然と引っ張っているのかなと思います。なので、撮影は緊張していますが、ノブさんと同じように楽しく撮影できたらと思っています」と語った。 最後に、今田は「以前、『おかえりモネ』(2021年放送)の第2部東京編に出演させていただいた時に、近くでヒロインの清原果耶ちゃんの姿を見させていただきました。撮影が約1年あり、それだけ長く同じ役を演じることは大変で、すごいことだと思います。でも、なかなか経験できることではないので、今回自分がやるのは正直緊張していてやりきれるかなと不安もありますが、それだけずっと一緒にいるキャストの皆さんやスタッフさんに、甘えながら頼りながら家族のような時間を過ごし、明るく元気に乗り越えたいなと思っています」と意気込む様子を見せた。 ■倉崎憲「彼女の芝居がノブさんに見え、1年間一緒に走り続けたいと思った」 オーディション時の今田の印象を聞かれた中園は「すごい方々がオーディションを受けてくれたので選ぶのが大変でした!でも、今田さんの最終オーディションの時、スタッフが何人か泣いていて。それを見た時に、『ああ、ノブさんってこうゆう人だったんじゃないかな』と思えました。(今田さんは)温かくて力強くてみずみずしくて、最終オーディションのその瞬間に決めてました」とコメント。 そんな中園のコメントを聞いた今田は「うれしいの一言につきます」と照れながら笑顔を見せた。 また、倉崎氏は今田について「今田さんは、台本のせりふやト書き一つ一つを、ご自身の中で分かって理解して芝居に出してくれたので、自然と私たちの心を動かしました。彼女の芝居がノブさんに見え、1年間一緒に走り続けたいなと思いました。他のスタッフさんなども満場一致で今田美桜さんを選ばさせていただきました」と今田を選んだ理由を明かした。 続けて、「今田さんの芝居や姿勢は非常に自然でナチュラルだなというのが、オーディションを経て一番印象に残っています。あと、彼女の笑顔で、いい意味で緊張が高まり、いい意味で現場の雰囲気が変わるのを肌で感じました。ストイックでまじめで誠実な姿勢に、我々も向き合わされましたし、一つ一つのせりふへの読解力がすごく、芝居に落とし込んでいるので、今田さんだからこそ感じ取った資料がほとんどないノブさん像を、自分なりに演じてもらい、この作品を作っていけたらと思っています」と語った。 ■「あんぱん」の物語 昭和のはじめ頃、高知の町中をものすごい勢いで走る少女がいた。その少女は「ハチキンおのぶ」こと、朝田のぶ(あさだのぶ)。一方、幼い頃に父を病気で亡くした柳井嵩(やないたかし)は、叔父の家に引き取られ、そこでのぶと出会う。二人を結びつけたのは、一個のあんぱんだった。 戦争の足音が近づく頃、女学校に通っていたのぶは周りと同様に、妄信的な軍国少女となった。やがて戦争が始まり、嵩は出征。嵩は弟・千尋(ちひろ)を戦争で亡くし、のぶも最愛の人を亡くしてしまう。 女学校を卒業し、のぶは戦争で全ての価値観が変わり、「何が正しいかは自分で見極めなければならない」と新聞社に女性初の記者として就職。戦後、クズ拾いの仕事を辞めた嵩が新聞社に入社してきて、二人は同じ雑誌の担当に。嵩は東京で漫画家を目指したい気持ちがありつつも、生活していけるか不安だった。のぶはそんな嵩に「あなたも後から来なさいよ。先に東京に行って待ってるわ」と告げ、新聞社を辞め上京。 のぶを追いかけ上京した嵩と、六畳一間のオンボロアパートでの生活がスタート。お風呂はなく、トイレは共同。トイレの天井には穴があき、雨の日は傘をさして入らなければいけないが、晴れた夜には星が見える。そんな暮らしをおもしろがり、「どんな環境でも楽しめるこの人と一緒にいたい」と二人は結婚。「手のひらを太陽に」「アンパンマン」が世に出るのは、まだまだ先のことだった。