麻布台ヒルズの注目店はあの人気シェフの集大成
麻布台ヒルズという大舞台でのスペシャルな12席
今年最も注目された麻布台ヒルズのオープン。まだ建設中の建物を含め3つのゾーンにはグルメが泣いて喜ぶ話題の店が連なります。その一つがレジデンスA棟に誕生した「DepTH brianza」です。店名を聞いてグルメならピンとくるはず。そう、ここは「La Brianza」「ACiD brianza」など人気店を擁するブリアンツァグループのトップ、奥野義幸さんが自ら腕をふるう店なのです。
“今できるすべてを注ぎ込み、今やりたいことを形にした”というこの店は12席という小さな空間。「カウンターは料理人が中心になってしまいがち。でもここではお客様同士で会話を楽しんでもらいたいと思ってテーブル席にしました。そうすると厨房からお客様と会話しながら料理をするにはこの席数が限界」と既存の奥野さんの店の中では席数がとても少ない。しかし、平日は17時~19時がミニコース、19時半~22時半がフルコース、土日祝は12時~15時と18時~21時半のフルコースというニーズを熟知したスタイル。さすが、どこも人気店にしてきただけあります。
「食材もさることながら生産者やインポーター、サプライヤー、もちろんお客様もスタッフもここではみんなが主役」と作ったメニューはイタリア料理に和食や中国料理、アジア、メキシカン、中東などの要素が組み合わされ、まさに奥野ワールド全開です。タキシード形に折りたたんだナプキンの下に置かれたメニューには食材だけが記載され、どんな料理が出てくるのかワクワクしながら待ちます。
奥野シェフの真骨頂、一ひねりあるイタリア料理のフルコース
始まりは一口サイズのアミューズ。一つは雛豆をペーストにして揚げたものに白菜のザワークラウトをのせ、ジビーフのハツをジャーキーにして削りかけました。3週間発酵させた白菜はトロトロで甘みをおび、キャベツを使った馴染みのザワークラウトとは別次元のおいしさです。
もう一つはイクラのタルト。鮎の魚醤を加えたイクラのパキッとした塩気と、バターと蜂蜜で甘いタルトがお互いを引き立て合ったところに、中に忍んでいたストラッキーノチーズがとろりとした食感で楽しませます。味のアクセントは黒胡椒と塩かぼす、そして黒トリュフ。こんな小さな2つの料理にもしっかりと“おいしい”が詰まっています。