発達障害の子どもに周りはどう接するのが正解?「精神疾患」「他害」二次障害を防ぐために
元テレビ東京アナウンサー・赤平大さんの息子さんは発達障害とギフテッド(※1)という2つの特性を併せ持つ中学1年生。偏差値50台から麻布中学に合格したことで話題になりました。 息子さんが発達障害と診断されてから、500本以上の論文を読み、民間資格を4つ取得し、発達障害への理解を深めてきた赤平さんに、「発達障害の子どもへの正しい接し方」についてお話を伺いました。 子どもの発達障害、本人・きょうだい児にいつ・どうやって話す? ※1 発達障害とギフテッド……特定の学問や芸術性、言語能力などにおいて、同世代の子どもよりも著しく高い能力を先天的に持った人のことをギフテッドと呼ぶ。高IQであることが多いが、「=勉強ができる」わけではない。 またギフテッドと発達障害を併せ持っている子どもを“twice-exceptional(=二重に特別な)”の略で“2E(トゥーイー)”と呼ぶ。この場合、得意なことと苦手なことのギャップが大きいため、生きづらさを抱えていることが多い。赤平さんの息子さんも“2E”。
発達障害者は生きづらさから、自傷や他害などの二次障害を引き起こしやすい
まず全世界共通の発達障害者への対応として、「二次障害を防ぐ」というものがあります。二次障害とは、簡単に言えば「うつ病や不安障害などの精神疾患」と「暴力行為や問題行動などの他害」の2パターンです。 発達障害の特性によって、子どもの頃から周りに認めてもらえず、怒られたり否定されたり、または無視されたりいじめられたりを繰り返していると、自尊心が低下していきます。自尊心が下がると「自分はダメな人間なんだ」となってしまいますよね。 二次障害の1つは「親も学校も理解してくれない、友人も乏しい。自分は生きている価値がない」と精神的に病んでしまうパターン。そしてもう1つはそれが外側に向いて、「自分はすごく努力してるのに、いつもみんなに怒られたり馬鹿にされたりする。理解してくれない世界が悪いんだ」と暴力や犯罪につながってしまうパターンです。
他者に攻撃的な発達障害者は、社会が生み出してしまった二次障害
前回記事の“発達障害の子どもが急増中? 多様性の時代に生まれた「ニューロダイバーシティ」という考え方”でも話題にしましたが、世の中には「発達障害者は周りに迷惑をかける」と考える方たちもいらっしゃいます。特に二次障害の他害型では、他者に対して攻撃的だったり暴言や暴力をふるったりする傾向がありますからそう思われがちです。 しかし、この人たちの“度を越した行動”は生まれながらの障害という訳ではなく、これも二次障害の一種なんです。子どもの頃から認められず、苦しい思いをしながら生きてきた結果、この“他害”という行動に出てしまっている。これは社会が生み出してしまったとも言えるもので、今から変えるのは難しい。 でもこの残酷な障害を、これから起こさないようにすることは可能です。発達障害者を子どもの頃から認めて受け入れる社会をつくっていけば、“周りに迷惑をかける発達障害者”は“その特性を活かしたイノベーティブな人材”に切り替わるはずです。