「ミスを繰り返す人」と「一度で学習する人」の違いを生む1つの習慣
次こそはミスなく終わらせよう、と思っても過ちを繰り返してしまう...。その原因はどこにあるのでしょうか? 要領のいい人が失敗を繰り返さないわけを、 塚本亮さんが解説します。 【脳タイプ診断】人間関係のトラブルの原因にもなる ※本稿は塚本亮著『要領よく成果を出す人は、「これ」しかやらない(PHP研究所)より、一部を抜粋編集したものです。
要領のいい人は、なぜ同じ過ちを繰り返さないのか?
ミスや失敗は、誰もが通る道です。ただしそこで、要領のいい人は、同じ過ちを繰り返しません。過ちを繰り返す人と一度で学習する人は、いったい何が違うのでしょうか? ・「経験学習モデル」の4ステップ 「経験学習モデル」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。このモデルは、心理学者デイビッド・コルブによって提唱され、彼の「経験学習の理論」(1984年)で詳述されました。 経験学習モデルは、学習のプロセスが実際の経験を通じて行われるという考え方に基づいています。現代のように環境の変化が激しい時代では、日々の経験から学び、それを自分の知識やスキルとして統合することが重要です。経験学習サイクルは、経験したことをノウハウに変え、成長していくために欠かせないプロセスと言えるでしょう。 このサイクルを理解し、実践することで、絶えず変化する環境のなかでも適応し、成長を続けることが可能になります。経験学習モデルは、具体的な経験から学び、成長するプロセスを示します。 このモデルでは以下の4つのステップが重要です。 ①経験:実際の経験を行う ②内省:行動の振り返りとフィードバック。経験を内省し、分析するプロセスです。これはビジネスにおける「振り返り」とも呼ばれ、「リフレクション」としての重要な要素を持ちます。ここで重要なのは、経験から学び取ろうという意欲です。 ③教訓:経験を多面的に捉え、教訓にする。振り返りを通じて、「これは成功した(または失敗した)。次はこうするべき」という仮説を立てます。このステップでコツやノウハウとしての教訓が生まれます。 ④実践:行動を修正し、挑戦する。教訓を実際の職場で実践し、新たな経験を得るプロセスです。これにより、次の経験学習サイクルに進むための基盤が形成されます。 要領のいい人は、経験をした直後に振り返りを行うことで、その経験から学ぶことができます。このアプローチは、新鮮な記憶を活用し、具体的で有意義な教訓を引き出すのに効果的です。 彼・彼女らは経験した出来事に対して深く考え、自分の行動や結果に対して責任を持ちます。このプロセスを通じて、彼らは繰り返し同じミスを避け、継続的な改善と成長を遂げることができます。 ・学んだことは「すぐ」復習しよう 忘却曲線について、多くの人がその存在を知っていることでしょう。忘却曲線は、ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスによって提唱されたもので、時間の経過とともに学習した情報がどのように忘れられていくかを表す曲線です。 エビングハウスの研究によれば、情報を学んだ直後は記憶が鮮明ですが、時間が経過するにつれて忘れやすくなります。特に学んでから20分後には約42%の情報が忘れられ、24時間後には約70%が忘れ去られるとされています。 ただし、これはあくまで平均的な傾向であり、個人差や内容などによって忘れる速度は異なります。したがって、時間が経過すればするほど忘れるのは自然なことなので、なるべく早期に振り返りを行わないと振り返りの効果が薄くなると言えます。 多くの人は、経験から直ちに学ぶことを怠ります。行動の結果をしっかりと振り返ることなく、次のタスクに移行してしまうのです。これにより、彼らは同じ過ちを繰り返す傾向にあり、成長の機会を逃してしまいます。彼らは経験から学ぶことがないため、根本的な問題の解決に至らず、同じ問題に何度も直面することになります。 要領のいい人と要領の悪い人の大きな違いは、振り返りと学びのプロセスにおいて顕著に表れます。経験をただ経験として受け止めるのではなく、それを自己成長の機会として活かすかどうかが、成果につながる鍵となるのです。