アナリストが理解できないメガバンク、買い推奨ゼロでも株価37%上昇
(ブルームバーグ): 株式アナリストたちは、オーストラリアのコモンウェルス銀行(CBA)を理解できないでいる。
同行は時価総額が1000億ドル(約14兆3000億円)を超えている世界唯一の銀行だが、買い推奨の投資判断はゼロだ。しかし、株価は2022年8月に最後の買い判断を失って以来、37%上昇している。
世界的な原材料需要の先行き不透明の中で鉱業株からオーストラリアの銀行に資金が流れた。CBAは最大の恩恵を受けたが、その結果、世界で最も割高なメガバンクになった。
ジェフリーズ・フィナンシャル・グループのアナリスト、マシュー・ウィルソン氏は今週のリポートで「CBAの株価は成層圏の上の領域にある。いずれ銀行株からの激しいUターンが起こる可能性は高い」と指摘した。
今や約1600億ドルの時価総額を持つCBAは7月に、低迷する資源会社BHPグループを抜き、オーストラリアで最も価値のある企業となった。これにより、時価総額加重のS&P500・ASX200指数をベンチマークとするパッシブファンドによる同銀行株の買いがさらに増えた。CBAの広報担当者はこの記事に関するコメントを控えた。
2019年にCBAの投資判断を「売り」に引き下げたゴールドマン・サックス・グループは、株価上昇に意表を突かれたことを認めた上で、新型コロナウイルス流行が発生した時にオーストラリアの銀行がより保守的なリスク設定を行ったこと、また、パッシブ投資へのシフトの中でCBA株の個人投資家による保有比率が高いことが株価上昇につながったと分析した。
アナリストのアンドルー・ライオンズ氏は12日付のリポートで、株価上昇はファンダメンタルズのパフォーマンスよりもこうした要因によるものだとして「ここからCBA が他社を上回るというケースは考えにくい」と付け加えた。
CBAの1株当たり利益は今後12カ月間で3.5%の増加が見込まれており、米大手銀のシティグループの19%、バンク・オブ・アメリカ(BofA)の7.6%と比べて見劣りする。