73坪の敷地に立つシンプルな三角屋根の小屋。天井高4.5mある開放的な空間に!外壁を黒にした理由は…
今回ご紹介するのは、名古屋市に拠点を置く建築家・近藤道太郎さんの自邸。“シンプルな小屋”をモチーフにした住まいには、「光の表情」と「構造美」を楽しむ家づくりのエッセンスが凝縮しています。黒を基調にしたミニマルなインテリアが広がっています。 【写真集】建築家・近藤道太郎が暮らす三角屋根の住まい。モノトーンインテリアにも注目!
光の陰影が際立つ“三角屋根の小屋”
焼杉の外壁で覆われた切妻屋根の平屋。外には閉じた印象ですが、玄関に入ると天窓の光が垂木の影を映す表情豊かな空間が広がります。「シンプルな小屋に素材感のある焼杉を用いて力強い建築を目指しました」。そう語るのは、この自邸を手掛けた建築家の近藤道太郎さん。 〈写真〉大きな三角屋根に焼杉の外壁が、凛とした表情を醸す東面ファサード。外部からの視線をカットするため玄関には庇にもなるスチールの囲いを設けた。
光の表情を楽しむ、おおらかなつくりの住まい
東南の角地にある73坪の敷地は日当たり良好の反面、窓の取り方には工夫が必要に。 天窓を各所に設け、リビングの窓は腰高に抑えたといいます。「家族の気配を感じられるように」と、LDKからロフトまでワンルームのようにつながるおおらかなつくりが特徴的です。 「道路より1m上がった地盤に建物を埋め込み、LDKの天井は最大で高さ4.5mとることができました。木造の箱にコンクリート造の水回りの箱を入れ込んだ混構造ですが、2つある個室には扉を設けず、水回りと個室の床レベルをLDKよりも上げたスキップフロアにすることで、空間を柔らかく区切っています」 〈写真〉玄関ホールとリビングの間は、靴箱を兼ねたテレビ台であいまいに仕切った。居室は床暖房を設置。焼杉の外壁で覆われた切妻屋根の平屋。ダイニングにはハンス J. ウェグナーのYチェアが。
大屋根の下、緩やかにつながった空間は、開口部を絞っているのでより明暗がくっきりと。 梁や垂木が連なる木造とコンクリート壁が組み合わさった、量塊感のある空間にすっと伸びた黒いキッチンが映えます。「キッチンは作業スペースが広くて作業しやすい」と奥さまにも好評。左側のパントリーには冷蔵庫や保存用の食材などを置くオープン棚が設えられています。右の階段を上った先に子供室と寝室が連続。 光の陰影で和を感じさせる佇まいに黒を効かせた内装や北欧テイストの家具が、洗練されたインテリアを形づくっています。
変化に富んだ空間が、家族ののびやかな暮らしを受けとめる融通無碍な住まいが誕生しました。 〈写真〉南側には広い駐車スペースを確保。スチールパネルは洗濯物干し場の目隠し。外壁の焼杉は、水性アクリル樹脂系のクリア塗装が施されたもの(共栄木材)。「表面の炭が落ち、杉の色が変わって木目が表れてくる経年変化も楽しみ」と近藤さん。