問題抱えた企業やAI敗者に賭けるファンド、同業の大半よりも好成績
(ブルームバーグ): フィデリティ・インターナショナルのファンドマネージャー、ドミトリー・ソロマキン氏は株式市場の潮流に逆らいながらも、なお勝利を積み重ねている。同氏の次のターゲットは、人工知能(AI)の台頭でつぶされたように見える銘柄だ。
ソロマキン氏は長年、経営上あるいは財務上の問題を抱えた企業に賭けてきた。航空機エンジン大手の英ロールス・ロイス・ホールディングスといった企業への投資は成功し、同氏が運用する11億ドル(約1700億円)規模のグローバル逆張りバリューファンドの過去3カ月のパフォーマンスは同業他社の99%を上回った。
最近では同氏は、米エヌビディアがもたらしたAIへの熱狂の陰で敗者になったとみられる企業に注目し始めた。
ソロマキン氏はインタビューで、「私は全く人気のない企業を探している。市場が間違っているかもしれないわずかな例を見つけようとしている」と述べた。
4月末現在で同ファンド最大の保有銘柄であるロールス・ロイスは、まさにソロマキン氏のアプローチが正しかったことを証明している。同社は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が引き起こしたサプライチェーン問題からの立ち直りに時間がかかったが、変革と経営陣刷新によって株価は2022年末から約400%の回復を遂げた。
ソロマキン氏はロールス・ロイスの「ポジションを何年も保有していた。それは痛みを伴うものだった」と語り、「今はうまくいっているが、まだまだこれからだと思う」と続けた。
最近の注目企業の一つは、米国を拠点とするチャットボット運営会社コンセントリックスだ。同社の株価はAI普及の影響で年初来38%下落している。
ソロマキン氏は「AIチャットボットのおかげでこの種のサービスはもう必要ないと言われる」とした上で、「それは一般論でありニュアンスは大きく異なる。市場はだめだと言うが、100%同意しようと私は思わない」と続けた。