トム・ヨーク、ソロ・ライブでイスラエルとハマスの戦争をめぐり観客と口論となりステージを降りる
現地時間2024年10月30日、レディオヘッドのボーカルであるトム・ヨークがオーストラリア・メルボルンで行ったソロ・コンサートの最中、ある観客がイスラエルとハマスの戦争についてヤジを飛ばしたため、一時ステージを降りる事態となった。 シドニー・マイヤー・ミュージック・ボウルで行われた公演での一幕を捉えたファンの映像によると、ある男性観客が「イスラエルによるガザ大虐殺」に関する意見を叫び、イスラエルと過激派組織ハマスとの1年にわたる戦争で子供たちが犠牲になっていることに言及すると、トムは公演を中断し、ステージに上がって面と向かって言うよう煽った。 アコースティック・ギターを握りステージに立ったトムは、怒ったような声で「ここに来て言ってみろ。この場所で、さあ」と言い、一部のファンからはヤジを飛ばした観客に「黙ってろ」と非難する声も上がった。「ステージに上がって、言いたいことを言え」とトムはさらに述べ、「腰抜けみたいに突っ立ってないで、ここに来て言えよ。みんなの夜を台無しにしたいのか?」と続けた。 報道によると、その後も同じ観客がガザでの戦争について発言を続け、トムはうんざりしたようで、「わかった。やってくれたな。じゃあ、また後で」と言ってステージから降りたという。英ガーディアン紙によると、彼は数分後に戻って来て、最後の曲としてレディオヘッドの「カーマ・ポリス」を演奏した。 現在、トムは【エヴリシング・ツアー】中で、ソロの楽曲に加えてレディオヘッドとスピンオフのプロジェクトであるザ・スマイルの作品も披露している。 2017年にトム・ヨークはイスラエル政府のパレスチナ人に対する扱いを理由にイスラエルでの公演のボイコットを求める声が上がる中、テルアビブでのレディオヘッドの公演決行を擁護した。また、彼はBDS(ボイコット、権利放棄、制裁)は建設的な影響を生み出す可能性のある対話や文化的交流を妨げるものだとし、この運動を批判した。 2023年10月7日、250人以上の人質をとったハマスの戦闘員による襲撃で、1,200人以上のイスラエル人女性、子供、民間人が虐殺されたことを発端とする戦争が続く中、レディオヘッドのギタリストであるジョニー・グリーンウッドは長年のコラボレーターであるイスラエルのミュージシャンのドゥドゥ・タッサと今年5月にイスラエルで公演を行った。この行動は批判を招き、翌月にはジョニーが自身の考えを長文で公表している。 パレスチナ当局によると、この戦争でイスラエル軍は42,000人以上のパレスチナ人を殺害し、ガザのインフラの多くが破壊された。また、この戦争はイランやレバノンでの空爆を含むまでに規模が拡大している。