４回途中からリリーフ登板する健大高崎高・石垣（撮影・持木克友）

　「全国高校野球選手権・１回戦、健大高崎１－０英明」（７日、甲子園球場） 　開幕し、史上８校目（９度目）の春夏連覇を狙う健大高崎は石垣元気投手（２年）の好リリーフで英明を下し、初戦を突破した。最速１５３キロの速球を軸に５回２／３を無安打無失点に抑えた。滋賀学園は有田工を下して、夏初勝利。智弁学園は延長十一回タイブレークの末に岐阜城北を振り切った。今大会は暑熱対策として、試合を午前と夕方に分ける「朝夕２部制」を一部で導入。１日３試合を行う第１日から第３日まで実施する。 　影ができたマウンドで熱風と夕風のグラデーションを感じる。観衆約１万人のどよめきも、視線も、自分のものだ。史上８校目となる春夏連覇へ－。石垣が無安打救援で、白星発進を導いた。 　「エースとしてゼロで抑えようと意識しました。しっかり準備して、いい入りができました」 　ピンチこそ燃えた。同点の四回１死満塁で登板。最初から全開だ。カウント２－２から１５２キロを計測し場内からは感嘆の声。９球目、１５１キロで一ゴロ併殺を奪い窮地を救うと、愛らしい笑顔でマウンドを降りた。 　五回には、この日最速１５３キロをたたき出した。２年生投手が甲子園で計測した球速では、２０１３年夏に済美・安楽が記録した１５５キロに迫る歴代２位の数字。「投げている時はもうちょっと出るかなと思ったんですけど、欲を出しすぎないように」と冷静に受け止めた。 　昨晩、目を閉じようとすると、ＬＩＮＥの通知が鳴った。「明日頑張れよ」。送り主は同学年左腕の佐藤龍月投手。今夏の群馬大会まで背番号１を背負ったが、左肘の故障でメンバーを外れた。最大のライバルであり、友。「最初はショックだったんですけど、代わりに背番号１をもらって自覚と責任感を感じました」。今大会はバッティング手袋など佐藤の道具を身につけ、打席に入る。 　「佐藤が出られない分、自分が全試合投げるつもりで頑張りたい」。仲間のため、エースの誇りを胸に腕を振る。 　◆石垣　元気（いしがき・げんき）２００７年８月１６日、１６歳。北海道登別市出身。１７７センチ、７０キロ。右投げ両打ち。市立西小１年時に柏木ジュニアーズで野球を始め、西陵中では洞爺湖シニアに所属。健大高崎では１年春からベンチ入り。５０メートル走６秒２、遠投は１１０メートル。最速１５４キロ。