「データサイエンティストが扱うデータはとてつもなく雑…」北里大学未来工学部長が指摘する“データサイエンス教育における課題”とは?
◆大事なのは“ファン”であるかどうか
続いて、仕事におけるモットーを伺うと「学生には(研究について)『それってファン(fun)なの?』、『君にとって面白いこと?』って必ず聞くようにしています」と岡さん。というのも「しがらみを感じながら研究してもつまらない。特に大学の研究はしくじってもいいところなんだから、“好きなことをやらないと心も踊らないんじゃない?”って思います」と語ります。 すると、笹川が「それは仕事においても言えると思いますか?」と質問を投げかけると、岡さんは「仕事となると、ファンではないこともやらないといけない局面は出てきますが、“仕事を楽しめる、ファンになれるように工夫できないか?”という考え方ができると、ちょっと変わってくるかなと。僕自身、2割ほどファンなことができれば、残りの8割がファンじゃないことでも、それはそれでハッピーだと思っています」と持論を述べます。
◆改善すべきデータサイエンス教育の課題
2023年4月に創設したばかりの北里大学未来工学部では“データサイエンス教育”を推進していますが、現在どんな課題点があるのかを聞いてみると、「実は、データサイエンティストたちが扱っているデータってとてつもなく雑で、ボコボコに穴が開いているデータだったりするんですよ。その一方で、学生には整ったデータを渡して『調べてごらん』と言って調べさせています。ですので、我々がこれからやるべきなのは、ボコボコなデータを渡して調べさせること。そして、場合によっては自分で(新しいデータを)とってきてみる。そうすると、その大変さもわかるので」と言及します。 また、企業などによっては、いまだにデータが紙で保存されていることもあり、それをデジタル化することも大事な仕事の1つと言い、「これからどんどんデジタル化されて、データはコンピューターで扱いやすいものばかりになると思いますが、過去のデジタル化されていないものを捨ててしまうのはもったいない。だから、それをどうしていくかを考えて、場合によっては新しい道具を作ればいいと思っています」と話します。 最後に、岡さんが想像する近未来の風景を尋ねると、「例えば、手術室には執刀医や看護師、麻酔医、呼吸の管理をする技術者などがいますが、そこにデータサイエンティストも必要な時代になり、“データサイエンティストが手術室にいなければ大変!”となれば、メディカル分野の新しい未来としてはすごいと思います」と語っていました。 (TOKYO FM「DIGITAL VORN Future Pix」2024年12月21日(土)放送より)