八重樫の世界戦で途中採点発表間違いの大チョンボ
筆者が知る限り、国内のWBCの世界戦では、初のチョンボである。 途中採点は、ゲバラ陣営には通訳が伝え、八重樫陣営は、その場内アナウンスで知り、5ラウンド以降の戦術を練る。途中採点方式を採用しているのは、主要4団体の中でWBCだけだが、試合の行方を左右する重要なポイントで、それを境目に試合が動くことも少なくない。その途中採点を逆に取り違えて発表、1ラウンド経過後に訂正するという前代未聞の間違いを犯したのだから大橋陣営が怒るのも無理はない。 八重樫は、「採点の発表が逆で間違っていたという放送席の会話が途中で聞こえてきた。『そうなんだ』と思ったけれど、試合に負けたのは、僕が弱かったというだけのこと。それは負けた言い訳にはならないです」と、潔かったが、試合途中に、そういう雑音が耳に入るだけでも、ボクサーの心理状態には大きな影響を与えるだろう。 おまけに八重樫陣営のセコンドの人数にもJBCは「4人はつけらない」とクレームをつけてきたという。「ルールに従って、これまで通りにやってきた。なぜクレームをつけられるのか理解できない」と大橋会長は、このJBCの動きにも怒りが心頭だった。記者会見終了後、大橋陣営は、今回の不手際についての経過、事情説明を聞き、抗議を申し入れるためにJBCの控え室を訪れたが、もうそこは、もぬけの殻だったという。 JBCは、今回、なぜ、こういう大チョンボが起きたのかという原因をしっかりと究明、総括して、再発防止策を立てなければ、また間違いを犯す可能性も否定できないだろう。そうなれば、WBCからの信頼も失い、世界戦の統括、運営組織としても大きな問題である。ボクサーはリング上で命をかけて戦っている。そもそもボクシング界の秩序と権威を守るのがJBCの役目ではなかったのか。 (文責・本郷陽一/論スポ、アスリートジャーナル)