900億円も壁にならず ド軍のソト獲得報道に賛否!? 大谷翔平の後払いが生んだ歪みを米メディアが指摘「贅沢税は懸念ではない」
具体的に話が進めば、賛否両論が巻き起こりそうな気配だ。 現地時間10月27日、米紙『New York Post』のジョン・ヘイマン記者は、今オフのFA市場の目玉と言われているヤンキースの強打者フアン・ソトとの契約に「ドジャースが興味を持っているという噂だ」とすっぱ抜いた。 実力は球界屈指だ。19歳だった2018年のメジャーデビュー以来、ソトは通算打率.285、同201本塁打、同OPS.953と図抜けた打力を見せつけてきた。ヤンキースに加わった今季も打率.288、41本塁打(キャリアハイ)、109打点、OPS.989の好成績をマーク。FAイヤーで存在感を高めた。 今月25日に26歳になったばかりという若さもあり、FAを決めれば、複数球団による争奪戦は必至だ。その中で「最低でも総額6億ドル(約900億円)になる」(米誌『Sports Illustrated』)と予想される契約を結べるのは、ビッグマーケットを持つ球団に限られ、ドジャースが候補となるのは必然ではある。 いまだ噂の域は出ていない。しかしながら、ソトが昨オフに総額12億2600万ドル(約1772億5000万円=当時のレート)の超大型補強を展開したドジャースの一員になるかもしれないという一報はファンの間で小さくないハレーションを生んでいる。 反発を招いている原因は、昨オフにドジャースと大谷翔平が締結したプロスポーツ史上最高額となる10年7億ドル(約1015億円=当時のレート)の契約にある。 メジャーリーグは、戦力均衡を目的として、「ぜいたく税制度」を設けている。このルールは、チームの総年俸額が一定ラインを超えると罰金を科すというもので、上限を設けて戦力を均衡させ、リーグ全体の人気を維持するための措置だ。 しかし、ドジャースは「ペイロールに柔軟性を持たせられるのであれば、僕は全然、後払いでいいです」と語った大谷側のアイデアもあり、97%の後払い契約を締結。今後10年間の年俸はわずか200万ドル(約3億円)となる代わりに、ペイロールに柔軟性が生まれ、さらなる大物獲得が実現可能となっている。 後払いの上限は設けていない現制度の盲点を突いたドジャースは、交渉次第でソトを獲得する余裕も持っている。その裏技的な交渉術の成否を問うファンや識者は少なくない。1950年代から北米スポーツを追ってきた重鎮ジャーナリストのジム・ヘンネマン氏が、「ドジャースと彼が締結した10年7億ドルという契約は、非常識で、不愉快で、贅沢……。とにかく非常識だ」と厳しく断じたこともあった。 もっとも、ルール上は何もタブーは犯していない。ゆえにソト獲得が実現しても「問題ない」という見方もある。 メジャーをはじめとする各国球界の移籍情報を発信する『MLB Trade Rumors』は「ドジャースはソトを仮に年俸5000万ドル(約75億円)で獲得すれば、最高のペナルティが課される課税ラインの3億100万ドル(約451億5000万円)を超えることになる」と予測。続けざまに、現行ルールの“歪み”を指摘する。 「ドジャースがトップクラスの才能を追い求める上で贅沢税は大きな懸念事項ではなかったことは明らかだ。彼らはすでにオオタニ、ベッツ、フリーマン、ヤマモトらと大型契約を結んでいる。さらに金銭的なペナルティを課されたとしても、莫大な収益を生み出すビッグチームであるという単純な事実によって相殺される。何よりもソトがドジャースのような常勝軍団への移籍に興味を持つ理由は明白だ」 ドジャースにソトが加われば、スポーツ史に残る歴史的なビッグチームの誕生と言えるが、果たしてどうなるか。今オフの争奪戦は大きな娯楽を生みそうだ。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]