毎日“6時間睡眠”の人は「酔っ払いながら仕事をしているのと同じ」って…!ノーベル賞有力候補の睡眠学者が憂う、日本社会の「深刻な睡眠不足」
認知症のリスクが高まる
「徹夜明けの脳の状態は、アルコール血中濃度が0.1%の状態と同等。酔っ払っているのとほぼ同じです。4時間睡眠を5日間続けても、6時間睡眠を10日間続けても、同じレベルに達します。 日本の働き世代では6時間未満の睡眠を続けている人がごまんといる。酔っ払いながら一生懸命仕事をしているようなもので、本来のパフォーマンスを発揮できていません」 睡眠不足のリスクは、大きく分けると短期と長期の2つがある。まず、日々の生活や仕事に直結する前者のリスクにはどのようなものがあるのか。 「脳全体のパフォーマンスが低下します。情報の処理速度が遅くなり、記憶力も悪くなる。クリエイティビティに大事なひらめきの力も落ちるとされています。 心理面に与える影響も大きいです。感情のコントロールが効きづらくなって怒りっぽくなりますし、また利他行為もしなくなる。簡単に言えば、イヤな奴になってしまうのです」 また、長期的にも恐ろしいリスクは山ほどある。健康そのものに対してダメージを与えるのだ。 「うつ病のリスクが確実に上がります。それからメタボにもなりやすくなる。4時間睡眠を2週間続けるだけで、内臓脂肪が11%増えるという研究報告もあるくらいです。 中高年世代では、認知症のリスクが上がることも報告されています。認知症の原因物質として考えられているアミロイドベータは、睡眠不足が続くと脳に蓄積しやすくなるというデータがあります」 ただ、こうした多くの弊害がある一方、短い睡眠時間でもハツラツと活動し続ける「ショートスリーパー」を名乗る人間も存在する。 彼らの体のなかで一体何が起こっているのか。訓練すれば誰でもショートスリーパーになれるのか。さらに、脳のパフォーマンスを最大限引き出す睡眠時間とは? つづく記事『ナポレオンも実は「睡眠不足」だった…「ショートスリーパーの99%以上」はニセモノ! ノーベル賞候補の睡眠学者が警告するワケ』で、柳沢教授に解説してもらう。
週刊現代(講談社)