【オーストラリア】豪、オンライン販売の不公正取引を禁止へ
オーストラリア連邦政府は16日、現行の消費者保護法の対象とならないオンライン上での不公正な商取引慣行を禁止する計画を明らかにした。サブスクリプションの解約をわざと難しくする仕組みや、購入手続き中に「隠れた手数料」を加算することなどが取り締まりの対象となる。来年5月までに実施される連邦総選挙より前に消費者保護法を改正し、生活費高騰への不満が高まる有権者の支持を取り戻す狙いがある。 不公正な慣行には、オンライン販売で最初に安い金額を表示し、最終決済画面で送料や手数料を上乗せする「ドリッププライシング」と呼ばれる手法や、在庫が限られていると虚偽の警告を出し購入を促すことなどがある。 政府はまた、消費者に対しオンラインで購入する前にアカウントの作成を強制する慣行を違法化する計画。企業が消費者に対し修理や交換、返金、その他救済措置を拒否した場合、罰金が科される見通し。 ドリッププライシングは現在違法ではないが、オーストラリア自由競争・消費者委員会(ACCC)は誤解を招く行為を禁止する法律の下、不公正な商取引が慣行となっている企業への法的措置を講じてきた。20年には、チケット個人売買仲介サイトを運営するスイスのビアゴーゴー(Viagogo)が、最終決済画面で初めて27.6%の予約手数料を加算するなどして、連邦裁判所に700万豪ドル(約7億円)の罰金を命じられていた。 アルバニージー首相は「隠れた手数料やわなは、高騰する生活費にさらに圧力を加える」と述べ、今回の発表は不公正な取引を行う企業に警鐘を鳴らすものだとした。 政府は前日に、2026年1月からデビットカードの利用手数料の課金を禁止する方針を示したばかり。生活費高騰に苦しむ有権者を保護する姿勢をアピールしている。