関塚元五輪代表監督でジェフユナイテッド千葉は変わったか?
決して特別なマジックを携えているわけではない。基本に忠実なプレーの積み重ねで、チームを緩やかな右肩上がりに導いていくのが関塚監督の手法だとすれば、前任者の鈴木淳氏が解任された時点で12位に低迷していたジェフが、J1昇格プレーオフ出場圏内の6位にまで順位を上げた要因は何なのか。 チーム最年長の36歳、ベテランDF山口智は言う。「例えば監督が変わる中で、それまで試合に出ていない選手はチャンスだと思うでしょうし、そういうギラギラしている部分がいい方向に出ているというのはありますね。本来ならば常にこの状態じゃないといけないですし、手放しでいまの状態を喜べるかどうかというのは僕の中では別問題なんですけど……また同じことを繰り返すのはダメですし、その意味では(監督交代を)いいきっかけにしないといけない」。 ジェフ市原(当時)のユースで育った山口は、2001年にガンバ大阪へ移籍。攻撃的なスタイルを最後尾で支え、2012年に古巣へ復帰した。自身にとっては初めてとなるJ2を戦う過程で痛感したことは、理想と現実の狭間でもがき苦しむジェフの姿だった。 現役として残された時間が長くないことをわかっているからこそ、山口は「ぬるま湯につかりながら選手生活を終えることだけは避けたい」とたとえフロントから疎んじられる存在となっても、ジェフの問題点を忌憚なく指摘すると心に決めている。 J1昇格プレーオフ決勝で大分トリニータに屈し、目標を逃した2012年シーズンを振り返る山口からこんな言葉を聞いたことがある。「(会社から)なめられていると言ったら言葉が悪いかもしれないけど、これだけの選手を揃えたから(J1に昇格して)当たり前だ、というのがどうしてもあった。結果を出せなかった以上はもちろん選手が責任を持つし、実際に僕らのせいなんですけど。ジェフが強かった時期、オシムさんの頃をいまもちょっと引きずっているというか……それは絶対にあると思う」。 選手を含めた現場とフロントや会社が同じベクトル、同じ責任感を共有して戦うことができない状況は、山口によればいま現在もそれほど変わらないという。「もちろん関塚監督がいろいろなスパイスを加えてくれて、やり方を変えたことは新鮮でいいと思いますけど、チームとしては『監督を変えたんだから、お前ら、ちゃんとしろよ』みたいな感じもある。このチームにとってはすごく大きな問題で、同じことが繰り返されてきた中で何が残っているのかと言えば、何も残っていない状況なので。いまは監督が代わってやる気がいい方向に出ているので。それを上手く継続させていきたい。結果を出しているチームには軸があるんですけど、正直、僕らは何も作れていないので」。