日本協会に疑問呈したNBA八村塁、原動力は「バスケの未来」 「ハーフの大将」自覚
米プロバスケットボールNBAレーカーズの八村塁が日本協会の在り方などについて疑問を呈した13日の会見。強調したのは、「子供たちのために」という思いだった。日本のトッププレーヤーであることを自覚し、これまでのキャリアでも折に触れて後進への思いを語っていた。 【写真】八村塁から渡されたマイクが切ってあってガッカリする渡辺雄太 「お前はハーフの大将なんだ。塁を見て、みんなが頑張ろうとしているんだ」。 宮城・明成高時代の恩師、佐藤久夫さん(2023年に73歳で死去)は長らく、八村をそう鼓舞してきた。八村は「人生で一番うれしい言葉だった」と振り返る。 西アフリカのベナン人の父と日本人の母の間に富山で生まれた。明成高では1年時から主力として活躍。全国大会を幾度となく制した。卒業後は米国の強豪大へ進み、現在はNBA屈指の名門レーカーズでスターティングメンバーを担う。 ■「僕はブラッカニーズ」 日本人初の1巡目指名を受けた2019年NBAドラフトで着用したジャケットの裏地には、日本の浮世絵と、ベナンをイメージした柄をあしらった。黒人(BLACK)の父と日本人(JAPANESE)の母との子であることにちなみ、自身を「僕はブラッカニーズ。ハーフに生まれてよかった」と誇る。21年には自身のブランド「BLACK SAMURAI」も立ち上げた。 「ハーフの子も、そうでない子にも、自分の活躍で勇気や自信を与えたい」とも。日本の子供たちへの模範を目指す意識は年々、強まっている。 偉大な先輩の歩みに触発され、ハーフの子たちが続々と明成高の門をたたくようになった。他校の高校生も含め、早くからNBA入りを意識して海外の大学に進む動きなども活発になっている。 13日の会見では、「僕もNBAでやっている中で、強化というか、子供たちのためとか、日本のバスケを強くしていくためにやってきている感じはあったんですけど。日本代表の中で、その目的じゃなく、お金の目的があるような気がする」と発言。さらにコーチ陣の人選過程などにも疑問を呈した。 誰もが認める日本のトップ選手からの〝苦言〟は、SNS上でも議論の的に。X(旧ツイッター)などには、「日本の宝(八村)を客寄せパンダ的に扱ったツケ」「代表チームがようやく注目され始めて、スポンサーや広告集めにベクトルが向くのは、分からないでもない」と賛否両論が飛び交っているほか、「もっとコミュニケーションを取って和解してくれ」と早期の収束を願う意見もあった。