巨人を今季初3連勝に導いた34歳右腕、開幕から13イニング連続で無失点継続の要因とは
◆JERA セ・リーグ ヤクルト0―5巨人(11日・神宮) 巨人の菅野智之投手(34)は6回3安打無失点で2勝目。開幕から2戦13イニング無失点でチームを今季初の3連勝に導いた。投手陣は計5人で両リーグ最多5度目の完封リレー。チーム防御率は1・82でリーグトップに浮上した。 【写真】菅野智之が語る「ザ・ベストシーン」…伯父・原辰徳前監督の引退試合「これだけのお客さんが集まるって本当にすごいこと」 悪夢を振り払った。女房役の先制打が生まれた直後の6回。菅野はオスナ、村上を封じると、サンタナには100球目のカーブで見逃し三振に斬り、力強く拳を握った。「こんな言い方しちゃいけないですが、(小林の打席で)誰も点が入ると思ってなかった(笑い)。気持ちのこもった一打だったので、もう一回気持ちを入れ直して次の回を全力でいきました」。6回3安打無失点で鬼門・神宮を突破し、チーム唯一の開幕2戦2勝だ。 最速152キロの直球に「去年とは段違いというくらい曲がっている」というスライダーなどを織り交ぜ、相手に的を絞らせない投球。0―0の5回2死一、二塁では、「首を振ろうと思いましたが、誠司に任せておけば大丈夫な気がする」と信頼を置き、青木を149キロで空振り三振に封じた。三塁を踏ませず「1点もやれない展開だった。打線の巡り合わせも見ながらいい投球ができた」と納得の表情を浮かべた。 前回の神宮での登板は昨年7月17日。自己最短の1/3回を6失点でKOされていた。多くの実績を残してきた男でも、「ちょっと心が折れかけた」と言うほどの屈辱的な一戦。試合前まで3勝7敗、防御率6・28とセ本拠で唯一負け越している球場でもあった。一方で18年のCSではノーヒットノーランを達成した舞台。今の好調な右腕に、負のデータは関係なかった。 これで開幕から13イニング連続無失点。力強い直球に、鋭い変化球。昨季からの変化があった。キャンプ前から「上から球を押し潰せている感覚はある」と話していた通り、10センチ以上高い位置から投げ下ろしており、プレートからリリースの位置までの距離も最長10センチほどホームベース方向に近づいているという。 要因の一つは、自主トレから肩回りなどの可動性を向上させるため、長いバーを頭の上に持って前後に動かすなど、地道なトレーニングにも時間を割いてきたたことだ。軸足の右足の使い方の改良もつながっているという。「17、18年のような感じはある」と明かす投球感覚。ともに沢村賞を受賞した年で、まだまだ衰える年ではないことを証明している。 チーム全体の防御率も1・82でリーグトップに躍り出た。輝くベテランの存在は、やはり心強い。(田中 哲) 【記録室】 巨人先発の菅野が6回を無失点に抑えて勝利投手。神宮では22年9月13日以来の4勝目(7敗)を手にした。この球場で1点も与えずに白星は、16年4月13日に完封勝利で記録して以来、8年ぶり2度目だ。 これで7回を無失点に抑えた4日の中日戦に続き、今年は2試合の登板で2勝。シーズンの初登板から2試合以上続けて勝利投手になったのは、14年の3戦3勝、22年の2戦2勝に次いで3度目になる。 もっとも14年と22年は、ともに初戦で失点。開幕から2試合連続の無失点で2勝は今年が初めて。無失点を計13イニングに伸ばした。連続無失点の自身最長記録には、18年9~10月の32イニングがあるが、シーズンの初登板からは、16年ヤクルトとの初戦に7回無失点、2戦目のDeNA戦で6回まで無失点の計13イニングと並び、最も長くなった。(阿部 大和)
報知新聞社